ソルフェージュとは|意味を簡単に解説
ソルフェージュとは、楽譜を読む・聴く・歌う・書くといった音楽の基礎能力をまとめて鍛える訓練のことです。簡単に言えば「楽譜と音を結びつける力」を育てる練習の総称で、ピアノや声楽、吹奏楽など楽器や分野を問わず、音楽を学ぶ人の共通の土台として扱われています。「ソルフェージュって何をするの?」「どういう意味?」と聞かれたら、ドレミで歌って音の高さとリズムを体に入れる練習と答えるのがいちばん近いイメージです。
ソルフェージュの意味と、身につく能力
ソルフェージュで身につく力は、大きく分けて次の4つです。どれか1つではなく、4つを行き来しながら「楽譜を見れば音が浮かび、音を聴けば楽譜が浮かぶ」状態を目指すのがソルフェージュの考え方です。
- 視唱: 楽譜を見て、ピアノなどの助けなしにドレミで歌う力
- 聴音: 聴いたメロディや和音を楽譜に書き取る力
- リズム: 音符の長さや拍子を正確に感じ、手や声で再現する力
- 楽典: 音階・調・和音など、楽譜を読むためのルールの知識
日本の音楽教室や音楽大学では、この4つをまとめて「ソルフェージュ能力」と呼ぶことが多く、授業名や試験科目の名前にもなっています。内容の詳しい中身は次の章で解説します。
ソルフェージュは何語?語源・由来と英語のスペル
ソルフェージュはフランス語の solfège をカタカナにした言葉で、もとはイタリア語の solfeggio(ソルフェッジョ) に由来します。英語でもフランス語の綴りを借りて solfege(solfège)と書き、発音は「ソルフェージ」に近くなります。英語圏の音楽教育では、視唱を sight-singing、聴音を ear training や dictation と呼び分けるのが一般的です。日本語では「ソルフェージュ」の読み方で定着しており、略して呼ぶ決まった言い方はありませんが、教室や学校では「ソルフェ」と縮めて呼ばれることもあります。
語源をさかのぼると、ドレミの階名そのものにたどり着きます。11世紀のイタリアの修道士グイード・ダレッツォが、聖ヨハネ賛歌「Ut queant laxis」の各行の頭の音節(ut・re・mi・fa・sol・la)を音の高さの名前として使い、歌を覚えやすくしたのが始まりとされています。この「音の高さを音節で歌う」方法をソルミゼーションと呼び、sol と fa をつなげた言葉が solfeggio の語源です。のちに ut は歌いやすい do に置き換えられ、si(日本ではシ)が加わって、今のドレミファソラシになりました。
ソルフェジオ周波数とは別のもの
検索すると「ソルフェジオ周波数」という言葉がよく一緒に出てきますが、これは音楽教育のソルフェージュとは別のものです。ソルフェジオ周波数は、528Hz など特定の周波数の音に癒やしや体への効果があるとする考え方で、名前が似ているだけで、楽譜を読む・歌う訓練とは関係がありません。特定の周波数の健康効果は科学的に確かめられたものではないため、ボイストレーニングや音感の訓練の方法としては扱いません。歌の力を伸ばしたいなら、この記事で紹介する視唱や聴音の練習に時間を使うほうが確実です。
ソルフェージュで何をする?4つの訓練内容
ソルフェージュのレッスンや授業の内容は、前の章の4つの能力に対応した練習の組み合わせです。教室や教本によって呼び方は多少違いますが、何をするのかは次の4種類に整理できます。
視唱・新曲視唱・初見|楽譜を見て歌う
視唱は、楽譜を見てドレミ(階名)で歌う練習です。すでに練習した曲を正確に歌う視唱と、その場で初めて渡された楽譜を短い準備時間で歌う新曲視唱があります。初めて見る楽譜を歌ったり弾いたりすることを「初見」と呼び、楽器の初見演奏も同じ力の延長にあります。
視唱では、次のような手順で楽譜を読みます。慣れないうちは1〜3の譜読みに時間をかけてかまいません。
- 調号(ト音記号やヘ音記号の横のシャープ・フラット)と拍子を確認する
- 最初の音(主音)をピアノやアプリで取り、頭の中で音階を鳴らす
- 跳躍(3度・5度などの離れた音程)や臨時記号の位置に印をつける
- 一定のテンポで、止まらずに最後まで歌う
聴音|聴いた音を楽譜に書き取る
聴音は、ピアノで弾かれたメロディや和音を聴いて、5線譜に書き取る練習です。1本のメロディを書く単旋律聴音、2声を書く2声聴音、和音の構成音を書く和声聴音などがあります。視唱が「楽譜 → 音」の変換なのに対して、聴音は「音 → 楽譜」の逆向きの変換です。耳コピ(曲を聴いてメロディをつかむこと)の基礎になる力で、詳しいやり方は後の「聴音のやり方とコツ」の章で解説します。
リズム|拍を感じて正確に刻む
リズムの練習は、楽譜のリズムを手拍子や「タ・ター」などの声で打つリズム打ちが中心です。4分音符・8分音符・付点・休符・3連符を、メトロノームに合わせて崩さずに刻めるようにします。音程をつけずにリズムだけを取り出して練習できるので、視唱でつまずく原因がリズムなのか音程なのかを切り分けるのにも役立ちます。
楽典|楽譜を読むためのルールの知識
楽典は、音符と休符の長さ、音部記号(ト音記号・ヘ音記号・ハ音記号)、シャープ・フラットなどの臨時記号、半音と全音、音階と調、音程の度数、和音と和声といった「楽譜の文法」の知識です。楽典とソルフェージュの違いは、楽典は知識(頭で理解する)、ソルフェージュはそれを音として体で使えるようにする訓練という点にあります。たとえば「ミとファの間は半音」と知っているのが楽典、実際にその狭さで歌えるのがソルフェージュです。
楽典の用語は、1オクターブを12音(12の半音)に分けたうえで、どの音を使うかを決めるのが調、調を楽譜の最初で示すのが調号、といった順に積み上がっています。いきなり全部を覚える必要はなく、視唱や聴音の課題で出てきた用語をその都度確かめていくほうが身につきます。上級になると、ハ音記号の読み替え(クレ読み)や移調の練習が加わります。音程の度数そのものは音程の記事で詳しく解説しています。
ソルフェージュの効果と必要性|やる意味はある?
「ソルフェージュは意味ないのでは」「なんのためにやるの?」という疑問はよく聞かれます。結論から言うと、楽譜を使って音楽をする人、音程やリズムを正確にしたい人には、はっきりした効果とメリットがあります。一方で、目的がはっきりしないまま問題集をこなすだけだと、やる意味を感じにくいのも事実です。ここでは目的別に効果を整理します。
ソルフェージュの効果とメリット
| 鍛える力 | 得られる効果 |
|---|---|
| 視唱 | 楽譜を渡されてすぐに歌える・弾ける。新しい曲を覚える時間が短くなる |
| 聴音 | 耳コピが速く正確になる。伴奏やハモりのパートを聴き分けられる |
| リズム | 走る・もたつくが減る。バンドや合奏で周りと合う |
| 楽典 | 曲の構造(調・和音進行)がわかり、アナリーゼ(楽曲分析)や作曲・伴奏付けに進める |
これらはばらばらの効果ではなく、「頭の中で正しい音が鳴る」という1つの力の現れです。頭の中に正確な音のイメージがあれば、それを声や指で再現するだけになるので、演奏の安定感が大きく変わります。
歌が上手くなる?ボイトレとの関係
歌う人にとってのいちばんのメリットは、音程の正確さです。歌で音程がずれる原因は、声の出し方(発声)の問題と、そもそも正しい音が頭の中にない問題の2つに分かれます。ボイトレは主に前者を、ソルフェージュは後者を鍛えます。「思った音が出ない」のか「思った音がそもそも違う」のかで、必要な練習が変わるのです。
そのため、発声が安定しているのに音程が合わない、ハモりのパートになると主旋律につられて歌えない、という人ほどソルフェージュの効果を実感しやすくなります。反対に、声がかすれる・高音が苦しいといった悩みは発声の問題なので、ソルフェージュだけでは解決しません。歌上手くなるための近道は、ボイストレーニングとソルフェージュを両輪で進めることです。
絶対音感・相対音感との関係
ソルフェージュで主に育つのは、相対音感(基準の音からの距離で音の高さをつかむ力)です。ドの音をもらえば、そこからレやソを正確に取れる力で、歌やアンサンブルで実際に使うのはこちらです。一方の絶対音感(基準なしで音名がわかる力)は、幼児期の訓練で身につきやすいとされる能力で、大人になってから新たに獲得するのは難しいと言われます。ただし、絶対音感がなくても音楽の仕事や演奏に困ることはほとんどなく、ソルフェージュの目的はあくまで相対音感を確かなものにすることです。
「意味ない」と感じるのはどんなとき?
ソルフェージュが意味ないと感じやすいのは、①目的と練習内容が合っていない(歌の音程を直したいのに楽典の暗記ばかりしている)、②自分のレベルより難しい課題を続けている、③実際の曲に結びつけていない、のいずれかの場合です。練習した視唱の感覚を好きな曲の譜読みに使う、聴音の力でハモりを耳コピする、というように実際の曲とつなげると、やる意味が実感に変わります。
移動ドと固定ド|ドレミの読み方の2つの流儀
ソルフェージュで楽譜をドレミで歌うとき、読み方には移動ドと固定ドの2つの流儀があります。どちらで習うかは教室や学校によって違い、途中で混乱しやすいポイントなので、始める前に違いを押さえておきましょう。
音名と階名の違い
まず前提として、音の呼び方には2種類あります。音名は鍵盤上の絶対的な位置を表す名前で、日本語では「ハ・ニ・ホ・ヘ・ト・イ・ロ」、英語では「C・D・E・F・G・A・B」と呼びます。階名は、その曲の調の中で何番目の音かを表す名前で、イタリア語由来の「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」を使います。日本の学校では、音名を日本語、階名をイタリア語で呼び分けるのが基本です。
移動ドと固定ドの違い
- 移動ド
- 調の主音(その調の中心の音)を常に「ド」と読む方法。ト長調ならソの鍵盤の音を「ド」と読む。どの調でも「ドレミ」の並び方(全音・半音の間隔)が同じになるので、メロディの中での音の役割がつかみやすく、相対音感が育ちやすい。合唱や歌の世界、コダーイ・メソッドなどで多く使われる。
- 固定ド
- 調に関係なく、ハの音(鍵盤のC)を常に「ド」と読む方法。ドレミが音名として働くので楽器の鍵盤の位置と一致し、ピアノ学習者や絶対音感を持つ人になじみやすい。日本のピアノ教室や音大の多くはこちらが主流。シャープやフラットのついた音も「ド」と読むため、臨時記号の扱いに慣れが必要。
歌う人にはどちらがおすすめ?
歌が目的なら、移動ドから始めると上達が速いことが多いです。移動ドでは、どの調でも「ミとファ」「シとド」の間が半音になり、音の並び方が同じに感じられるので、カラオケでキーを変えても同じ感覚で歌えます。一方、ピアノを並行して習っている人や、音大受験で固定ドの教室に通う予定がある人は、最初から固定ドに合わせたほうが混乱しません。大切なのは、1つの教本・教室の中で流儀を混ぜないことです。
ハンドサインで音の高さを「見える化」する
移動ドの練習でよく使われるのがハンドサインです。ドはこぶし、レは斜め上に向けた手のひら、ミは水平の手のひら……というように階名ごとに手の形を決め、音が高くなるほど手の位置も上げます。19世紀のイギリスで考案され、ハンガリーのコダーイ・メソッドで広まった方法で、手の形と位置で音の高さを目に見える形にできるため、子どもの音楽教育や合唱の練習で取り入れられています。
ソルフェージュのやり方|大人が独学する練習方法
ソルフェージュは教室で習うものというイメージがありますが、基礎の段階なら大人の初心者でも独学で十分に進められます。必要なのは、音を確かめるための鍵盤(ピアノ・電子キーボード・鍵盤アプリのどれでもよい)、入門編の教本かドリル、メトロノームの3つです。ここでは、はじめての人が家や自宅で毎日続けられる進め方を紹介します。
独学の進め方|入門から初級までの4ステップ
- ドレミの音階を正確に歌う: 鍵盤でドを鳴らし、ドレミファソラシドを上り下りで歌う。ミとファ、シとドの半音の狭さを意識する
- 1オクターブ内の短いメロディを視唱する: 入門編の教本から、4〜8小節の順次進行(隣の音に動く)中心の課題を選ぶ
- リズム打ちを独立して練習する: 音程をつけずに、同じ課題のリズムだけを手拍子で打つ
- 短い聴音に挑戦する: 鍵盤アプリなどで2〜4音のメロディを聴き、ドレミで答えてから5線譜に書く
1冊目の教本の最後まで進んだら、調号の多い調や、3度・5度の跳躍を含む初級の課題に進みます。
毎日15分の練習メニュー
独学で上達するコツは、1回の長時間より毎日の短時間です。音の感覚は間を空けると戻りやすいので、1日15分でも毎日続けるほうが効果があります。おすすめの勉強法は、次のように4つの訓練を少しずつ回すメニューです。
メニューの中では、視唱にいちばん長く時間を使います。練習した課題は録音して聴き返し、鍵盤の音と比べて音程のずれを確認しましょう。うまくいかなかった課題と日付をノートに書いておくと、どこでつまずきやすいかが見えてきます。
独学で気をつけたいこと
- 最初の音は必ず鍵盤で取る: 基準の音があやふやなまま歌うと、ずれた音程で覚えてしまう
- ゆっくりのテンポで止まらずに歌う: 間違えても止まらないことで、拍を保ったまま音を探す力がつく
- 移動ドか固定ドかを決めて統一する: 教本の指示に合わせ、途中で読み方を変えない
- 簡単すぎると感じたら次に進む: 正答率が9割を超えたら課題のレベルを上げる
独学の弱点は、自分の音程のずれに気づきにくいことです。録音で確かめてもずれがわからない場合や、同じところで何度もつまずく場合は、教室で数回だけ習ってチェックしてもらうのも効率のよい学び方です。上達法の近道は、ひとりで練習する時間と、人に聴いてもらう機会を組み合わせることです。
ソルフェージュができない・難しい・苦手な人の練習法
「楽譜を見ても歌えない」「聴音がまったく書けない」と、ソルフェージュを難しいと感じる人は少なくありません。できない人の多くは、音程・リズム・読譜のどこでつまずいているかを切り分けずに、全部を同時にやろうとしているのが原因です。苦手を克服するには、まずつまずいている場所を特定しましょう。
どこでつまずいているかを切り分ける
同じ課題を、①リズムをつけずに音名だけを読む、②音程をつけずにリズムだけを打つ、③鍵盤で音を鳴らしながら一緒に歌う、の3通りに分けてやってみます。①で止まるなら読譜、②で崩れるならリズム、③はできるのに鍵盤なしで歌えないなら音程(頭の中で音が鳴らない)がつまずきの原因です。
原因別の練習方法
- 音が読めない(譜読みが遅い)
- 5線譜の線と間の位置を、ド・ミ・ソなど目印の音から数えて読む練習をします。1日5分、音符カードや読譜アプリで「見た瞬間に音名が言える」状態まで繰り返すのが近道です。ヘ音記号が苦手な人は、ト音記号と別に練習しましょう。
- リズムが崩れる
- メトロノームをゆっくり(1分間に60拍程度)に設定し、拍を足踏みしながら手でリズムを打ちます。拍を体で刻みながら打つことで、長い音や休符で拍を見失わなくなります。
- 音程が取れない(歌えない)
- 鍵盤と一緒に歌う → 最初の音だけ鍵盤で鳴らして歌う → 鍵盤なしで歌って最後に確かめる、の順に補助を減らします。特に3度以上の跳躍は、間の音を小さく歌って埋めてから(ド・レ・ミ → ド・ミ)、間の音を抜いていくと取りやすくなります。
難しいと感じたときの考え方
ソルフェージュは、できるようになるまでの時間に個人差が大きい訓練です。子どもの頃に楽器を習っていた人と大人になってから始めた人では、スタート地点が違って当然です。難しいと感じたら、課題を1つ前のレベルに戻すのが正解で、できない課題を何度も繰り返すより、確実にできる課題を増やしていくほうが結果的に速く進みます。音程の取り方そのものは歌のピッチの記事も参考になります。
リズムのソルフェージュ|リズム打ちの練習方法
リズムはソルフェージュの中でも、音程と切り離して単独で練習できる分野です。視唱で音を探しているうちに拍がずれてしまう人は、まずリズムだけを正確に打てるようにすると、視唱全体が安定します。
リズム打ちのやり方
リズム打ちは、楽譜のリズムを手拍子や机を叩く音、または「タン・タタ」のようなリズム唱で再現する練習です。基本のやり方は次のとおりです。
- メトロノームを鳴らし、拍子(4分の4拍子なら4拍)を足や膝で刻む
- 1小節分のカウント(1・2・3・4)を声に出してから打ち始める
- 音符のところだけ手を叩き、休符では手を開いて「休み」を体で感じる
- 8小節を止まらずに打てたら、テンポを少し上げる
拍を刻む足と、リズムを打つ手を分けるのがポイントです。手だけで打つと、長い音符や休符の間に拍がどんどん短く(速く)なりがちです。
リズム練習で身につけたい音価
| 段階 | 練習するリズム |
|---|---|
| 入門 | 4分音符・2分音符・全音符・4分休符 |
| 初級 | 8分音符・付点4分音符・8分休符・タイ |
| 中級 | 16分音符・付点8分音符・シンコペーション・3連符 |
| 上級 | 8分の6拍子などの複合拍子・変拍子・複数のリズムの同時打ち |
リズム課題は、教本やリズム専門の書籍のほか、リズム練習用の楽譜を無料で公開している音楽教室のブログやサイトもあります。音楽教室のブログでは、子ども向けのリズムカードの使い方や、手作りの練習プリントが紹介されていることも多いので、教材選びの参考になります。
歌のリズム感につなげる
リズム打ちで身につけた拍の感覚は、そのまま歌のリズム感になります。ポップスでは、拍の頭より少し前や後ろに音を置くシンコペーションや裏拍のノリが多く出てくるので、まず楽譜どおりに正確に打てることが、崩して歌うための前提です。テンポを落として正確に打てたら、好きな曲のサビのリズムを打ってみると、ソルフェージュの練習が実際の歌とつながります。歌のリズムの取り方はリズム感の記事で詳しく解説しています。
聴音のやり方とコツ
聴音は、ソルフェージュの中で「いちばん難しい」と言われることの多い分野です。ただし、難しさの多くは一度に全部を聴き取ろうとすることから来ています。聴音の問題は、ピアノで同じ旋律が何回か繰り返し弾かれる形式が一般的なので、回ごとに聴くものを決めて少しずつ埋めていくのがコツです。
聴音の基本の進め方
- 1回目: 書こうとせずに聴き、何小節か・どの調か・最後の音が主音で終わるかをつかむ。メロディの上下の動きを空中に線で描いてもよい
- 2回目: リズムだけを書く。小節線を先に引いておき、各小節の拍数が合うように音符の棒と旗を書く
- 3〜4回目: 音の高さを埋める。わかる音(最初の音・終わりの音・主音に戻るところ)から先に書き、残りをドレミで小さく口ずさみながら埋める
- 最後: 小節ごとの拍数と調号、臨時記号を見直す
聴音のコツ
- ドレミで聴く: 聴こえたメロディを頭の中でドレミに置き換える。視唱で身につけた階名の感覚がそのまま使える
- 主音との距離で考える: 1音ずつ隣の音との差を追うと、1回のずれが最後まで響く。迷ったら主音(ド)からの距離で確かめる
- 跳躍は和音で聴く: ド→ミ→ソのような動きは、和音の構成音としてまとめて聴くと取りやすい
- リズムが先、音程は後: リズムの枠が決まっていれば、音程の空欄は後からいくらでも埋められる
聴音の種類と練習問題の選び方
聴音には、1本の旋律を書く単旋律聴音、2声を書く2声聴音、和音を書く和声聴音があり、初心者はまず単音や2〜4音の短いメロディから始めます。問題集は、例題と解き方の解説が載っていて、音源つき(CDやダウンロード音源)のものを選ぶのが独学の必須条件です。独学で聴音の練習問題を探すなら、1問が4〜8小節で解答が載っているものを選び、正答率が上がってきたら小節数や調を増やしていきましょう。聴音アプリは、出題と答え合わせを自動でしてくれるので毎日の短時間練習に向いています(アプリの選び方は後の章で解説します)。
ソルフェージュのおすすめ本・教本・テキスト
ソルフェージュの本は、子ども向けの教本から大人の独学向けのドリル、音大受験用の問題集まで幅広く出版されています。選ぶときは、①自分のレベルに合っているか、②音源(CDやダウンロード)がついているか、③移動ド・固定ドのどちらを前提にしているかの3点を確認しましょう。特に独学では、自分の歌や答えを確かめる音源の有無が大きな差になります。
定番のソルフェージュ教本
| 教本 | 特徴・対象 |
|---|---|
| 新版 子供のためのソルフェージュ(1a・1b ほか) | 桐朋学園大学音楽学部附属「子供のための音楽教室」編、音楽之友社。1954年刊行のロングセラーの新版。1aはト音記号・ハ長調から始まり、巻が進むごとに調や音部記号が増える段階式 |
| リズムとソルフェージュ(1 ほか) | 呉暁 著、音楽之友社。1巻は6〜8歳向け。リズムと視唱を組み合わせて進める子ども向けの教本 |
| 才能を育てる子供のソルフェージュ(上・下) | 呉暁 著、音楽之友社。幼児〜小学生の基礎づくり向け |
| きれいにうたいましょう ソルフェージュ(入門編・世界の民謡編) | ヤマハの楽譜出版の教材。世界の民謡など耳なじみのある曲を歌いながら力をつける構成 |
| うたう名曲ソルフェージュ1001曲 | 音楽之友社。クラシックや各国の民謡のメロディを課題にした視唱曲集。伴奏付の巻もある |
このほか、昔ながらの視唱の教則本や、楽典の参考書と組み合わせて使う問題集、「やさしいソルフェージュ」「はじめてのソルフェージュ」のように入門者向けをうたったシリーズや、書き込み式のドリル・ワークブックも各社から出ています。価格や最新の版は変わることがあるので、購入前に出版社の公式サイトや書店で最新情報を確認してください。
大人の初心者・独学におすすめの本の選び方
大人が独学で使う本は、子ども向けの教本でも問題ありません。子ども向けの教本は1ページの課題が短く、段階が細かく刻まれているので、むしろ大人の入門に向いています。ただし、「先生がピアノで音を出す」前提の教本は独学だと答え合わせができないので、CD付き・音源ダウンロード付きのテキストか、音源がなくても鍵盤アプリで確かめられる単旋律中心の本を選びましょう。教科書として1冊を最後までやり通し、2冊目に聴音の問題集やリズムの本を足すのが、無理のない練習の進め方です。
無料の楽譜・問題・プリントを使う
本を買う前に試してみたい人は、無料の教材から始める方法もあります。音楽教室や講師が、ソルフェージュの練習用の楽譜や練習問題をPDFのプリントとして無料でダウンロードできる形で公開しているサイトがあります。YouTube(ユーチューブ)にも、視唱や聴音の課題を音声つきで出題する動画が多く、ピアノがない環境でも使えます。ただし、無料の教材は難易度の順番が整理されていないことが多いので、体系的に進めたい場合は市販の教本を1冊軸にして、無料教材を補助に使うのがおすすめです。好きな曲のピアノ楽譜や歌の譜面から、メロディだけを取り出して視唱の課題にするのも効果的です。ディズニーの曲のように耳なじみのあるメロディや、バッハのメヌエットのような音の動きが素直な曲は、正解が頭に浮かびやすいので入門に向いています。本は楽天やAmazonなどの通販、楽器店の楽譜売り場でも購入できます。
声楽・合唱で使う定番教本|コールユーブンゲン・コンコーネ
歌を本格的に学ぶ人、音大の声楽専攻を目指す人、合唱団で歌う人がソルフェージュの次の段階で出会うのが、声楽の定番教本です。日本では明治以降の音楽教育でも使われてきた長い歴史があり、今も音大入試の課題や高校の音楽科の教材として使われています。
コールユーブンゲン
コールユーブンゲンは、ドイツの音楽家フランツ・ヴュルナーが1876年に刊行した、ミュンヘン音楽学校の合唱のための練習書です。ドイツ語の Chorübungen(合唱の練習)がそのまま書名になっています。音階・音程・リズムを短い課題で段階的に練習する構成で、日本ではソルフェージュや声楽の初歩の教材として定着しています。音楽之友社から全曲版や巻ごとの版、学生版などが出ており、音大や音楽高校の入試で課題として指定されることもあります。
コンコーネ50番
コンコーネ50番は、イタリアの声楽教師ジュゼッペ・コンコーネによる、ピアノ伴奏つきの声楽練習曲集です。歌詞のない旋律を母音や階名で歌うヴォカリーズの形式で、なめらかなレガートやフレーズの作り方を学びます。高声用・中声用・低声用など声域別の版があり、声楽を学ぶ人にとってはコールユーブンゲンの次に取り組む定番の教本です。ソルフェージュで身につけた視唱の力を、「正確に歌う」から「美しく歌う」へ広げる役割を持っています。
ダンノーゼルのソルフェージュ
ダンノーゼル(ダンハウザー)は、フランスの音楽教育家で、パリ音楽院の視唱教育の流れをくむソルフェージュ教本で知られています。日本では音楽之友社から「ダンノーゼルのソルフェージュ」として上下巻などで出版され、伴奏つきの課題で視唱の力を磨く教本として使われています。
進める順番の目安
進め方は先生や学校の方針で変わりますが、基礎の視唱教本 → コールユーブンゲン → コンコーネ50番 → 歌曲やアリア、という順番が一般的です。新曲視唱の力は、市販の視唱曲集や新曲視唱の問題集で並行して鍛えます。合唱で歌う人は、コールユーブンゲンの音階・音程の課題だけでも取り組むと、パート練習での音取りが大きく楽になります。発声や発音、イタリア語の歌詞の扱いは教本だけでは身につきにくいので、声楽を本格的に学ぶなら先生について習うのが確実です。
ソルフェージュアプリの選び方と使い方
スマホのソルフェージュアプリは、出題と答え合わせを自動でしてくれるので、先生のいない独学でいちばん頼りになる道具です。iOS(iPhone・iPad)向け、Android向けともに無料アプリから有料アプリまで数多く出ており、通勤・通学のすき間時間に聴音や読譜の練習ができます。アプリは更新や配信終了で内容が変わりやすいので、ここでは特定のアプリ名ではなく、目的に合ったアプリを選ぶための機能の見方を紹介します。
目的別に見るアプリの機能
| 目的 | 選びたい機能 |
|---|---|
| 聴音を鍛えたい | 音程(2音の距離)・和音・短いメロディの聴き取り問題。難易度を段階的に上げられるもの |
| 譜読みを速くしたい | 5線譜の音符を見て音名を答える読譜ドリル。ヘ音記号に切り替えられるもの |
| 視唱・音程を確かめたい | マイクで歌った音の高さを判定・表示する機能。新曲視唱の課題を出題するもの |
| リズムを鍛えたい | 画面をタップしてリズムを打つ問題と、メトロノーム機能 |
| 子どもと楽しく続けたい | ゲーム感覚のステージ制・ごほうび演出があるもの |
無料アプリと有料アプリの違い
無料アプリは、基本の問題は無料で使え、上級の問題や広告の非表示が有料(アプリ内課金)になっている形式が多く見られます。まずは無料の範囲で操作感と問題の質を確かめ、毎日続けられそうなら有料機能を検討するのがおすすめです。対応するOS(iOS・Android)や動作環境、料金は変わることがあるので、インストール前に各ストアの公式ページで最新情報を確認してください。パソコン(PC)で練習したい場合は、ブラウザで動く聴音・読譜の練習サイト(Webアプリ)を使う方法もあります。
アプリを独学に取り入れるコツ
- アプリだけで完結させない: アプリは「聴く」「読む」の反復が得意な一方、声に出して歌う練習は教本と鍵盤で補う
- 正答率より毎日の回数: 1日5分でも毎日開くほうが、週末にまとめて長時間やるより定着する
- イヤホンで聴く: スマホのスピーカーは低音が聴き取りにくいので、聴音の問題はイヤホンで解く
- 移動ド・固定ドの設定を確認する: アプリによって階名の読み方が違うので、教本と揃える
子ども向けのアプリは、ゲーム要素で練習を習慣にするには効果的ですが、画面を見る時間が長くなりすぎないよう、1回の時間を決めて使うとよいでしょう。
子どものソルフェージュ|何歳から始める?
子どもの習い事としてのソルフェージュは、ピアノ教室や音楽教室のレッスンの一部として取り入れられていることが多く、「いつから始めればいい?」「3歳でやっても意味ないのでは?」という疑問をよく聞きます。結論として、本格的な視唱や聴音は、ひらがなや数字が読めるようになる4〜6歳ごろからが始めやすく、それより前の2〜3歳は、リトミックやわらべうたなど、音やリズムに楽しく触れる遊びが中心になります。
年齢別の取り組み方
- 2歳・3歳
- 音楽に合わせて歩く・止まる、手をたたくなど、体を動かして拍やリズムを感じる遊びが中心。わらべうたや、手を使ったたのしいあそびうたを一緒に歌うことが、そのまま音感の土台になる。3歳で楽譜を読む練習をしても意味ないということはないが、「楽しい」と感じる経験を優先したい時期
- 4歳・5歳・6歳
- 先生の歌をまねて歌う、短いメロディをドレミで歌う、音の高い・低いを聴き分けるといった入門の練習ができる。幼稚園や保育園の年中〜年長にあたり、大手の音楽教室でも4・5歳向けの幼児科などのコースが用意されていることが多い
- 小学生
- 字が読めるようになり、教本やドリルを使った段階的な練習ができる。ピアノなどの楽器と並行して、視唱・聴音・楽典を体系的に学ぶ時期
ソルフェージュを何歳まで始められるかという上限はなく、中学生・高校生、大人からでも始められます。ただし、絶対音感は幼児期の訓練で身につきやすいとされるため、絶対音感を目的にする場合は早い時期から始める家庭が多いのも事実です。
リトミックとソルフェージュの違い
リトミックは、スイスの音楽教育家エミール・ジャック=ダルクローズが考案した、音楽に合わせて体を動かしながら音楽の要素を感じ取る教育法です。ソルフェージュとの違いは、リトミックが「体の動き」を通して音楽を感じることを重視するのに対し、ソルフェージュは「楽譜と音を結びつける」ことを重視する点にあります。ダルクローズのリトミックには、もともと体の動き・ソルフェージュ・即興演奏の3つが含まれており、幼児期にリトミックで体に入れたリズム感が、小学生以降のソルフェージュの土台になるという関係です。
家庭での子どもへの教え方
子どもが家で独学するときは、保護者が先生役になる必要はありません。一緒に歌う、鍵盤で音を当てるクイズをする、子供向けの教材や幼児向けのドリルを1日1ページ進めるといった、短く楽しい時間を毎日作ることが大切です。保育士や幼稚園の先生が保育の中で取り入れる場合も、わらべうたや手あそびうたなど、歌いながら自然にドレミやリズムに触れる活動が中心になります。
ピアノ・ギター・吹奏楽とソルフェージュ
ソルフェージュは歌だけのものではなく、あらゆる楽器の演奏者に役立つ基礎訓練です。楽器によって、特に効いてくる力が少しずつ違います。
ピアノとソルフェージュ
ピアノ教室では、ソルフェージュをレッスンの一部として取り入れているところが多くあります。ピアノは鍵盤を押せば正しい高さの音が出る楽器なので、音程を自分で作らなくても弾けてしまうぶん、楽譜を見て音を頭の中で鳴らす力が育ちにくいという面があります。バイエルやハノンなどの教本で指の練習を進める一方で、弾く前に歌ってみる、黒鍵を含む音階を声で確かめる、といったソルフェージュの練習を組み合わせると、譜読みが速くなり、表現も豊かになります。ピアノを独学で練習している人も、新しい曲の最初の数小節を歌ってから弾くやり方を取り入れてみてください。エレクトーンなど他の鍵盤楽器でも同じです。
吹奏楽・管楽器とソルフェージュ
吹奏楽部で練習する人にとって、ソルフェージュは特に意味のある訓練です。フルート、サックス、トランペット、ホルン、トロンボーンなどの管楽器は、ピアノと違って奏者が息と唇で音程を作るため、正しい音の高さが頭の中にないと、指使いが合っていても音程(イントネーション)がずれてしまいます。合奏でハーモニーを合わせるときにも、自分のパートが和音の中でどの役割の音かを聴き分ける力が必要になります。
もう1つ、吹奏楽ならではのポイントが移調楽器です。トランペットやクラリネット(B♭管)は、楽譜に「ド」と書かれた音を吹くと、実際にはピアノのシ♭の高さの音が鳴ります。楽譜上の音(記譜音)と実際に鳴る音(実音)がずれるため、固定ドで歌うか、自分の楽器の読み方(記譜音)で歌うかを、部活やパートで決めておくと混乱しません。
ギター・バイオリン・打楽器とソルフェージュ
ギターは、クラシックギターでは5線譜を、エレキギターやベースではコード表やTAB譜を使うことが多い楽器です。TAB譜だけで弾いているギタリストでも、ソルフェージュで音の高さとリズムを耳で把握できると、耳コピやアドリブ、ギターの練習の効率が大きく上がります。バイオリン(ヴァイオリン)は、フレットがなく音程を指の位置で作るため、管楽器と同じく頭の中の正確な音が欠かせません。打楽器は音程よりもリズムの読譜が中心ですが、ティンパニや鍵盤打楽器では音程の力も求められます。
合唱・ジャズ・ポップスとソルフェージュ
合唱や声楽のアンサンブルでは、ソルフェージュの力がそのまま音取りの速さになります。ジャズやポップス(ポピュラー音楽)の分野では、アメリカのバークリー音楽大学などでイヤートレーニングとして体系的に教えられており、コードを聴き分ける、ベースラインを耳で追うといった実践的な内容が中心です。作曲や伴奏付けをしたい人にとっても、頭の中のメロディを楽譜にする聴音の力は欠かせない基礎になります。
音大受験・検定とソルフェージュ
ソルフェージュという言葉をよく目にするのが、音楽大学や音楽高校の受験です。専攻が声楽でもピアノでも作曲でも、多くの音大・音楽科の入試で、専門の実技とは別にソルフェージュの試験が課されます。
音大入試のソルフェージュ試験の内容
入試のソルフェージュは、一般に次の3つで構成されます。どの科目が課されるか、課題のレベル、試験の形式は、大学・学部・専攻・年度によって異なります。東京藝術大学(芸大・藝大)、桐朋学園大学、洗足学園音楽大学、国立音楽大学、武蔵野音楽大学(武蔵野音大)など、志望校の最新の募集要項で必ず確認してください。
- 新曲視唱
- 試験会場で初めて渡される楽譜を、短い予見時間のあとに歌う。コールユーブンゲンなど指定の教本の中から課題が出される形式もある
- 聴音
- ピアノで弾かれる単旋律・2声・和声を、決められた回数の中で5線譜に書き取る
- 楽典
- 音程・調・和音・音楽用語などの知識を筆記で問う
受験対策の進め方
音大受験のソルフェージュ対策は、志望校の過去問から逆算するのが基本です。過去の入試問題を公開・頒布している大学もあり、芸大(藝大)受験のように過去問を使った対策が芸大受験の定番になっているように、まず1年分を解いてみて、現在の力との差を確かめましょう。そのうえで、新曲視唱は毎日1〜2曲の初見練習、聴音は問題集で本番と同じ回数・形式の練習、楽典は問題集を1冊繰り返すのが一般的な対策です。独学だけでは自分の弱点がわかりにくいので、受験を考えるなら、音大受験に対応したソルフェージュ教室や、志望校の卒業生の先生のレッスンを受けるのが確実です。多くの大学では講習会や入試説明会も開かれています。
入学後の授業と音楽高校
音大に入学したあとも、ソルフェージュは多くの専攻で必修の授業・単位として続きます。授業名は「ソルフェージュ」「ソルフェージュ演習」など学校によって異なります。入学時の試験で能力別にクラス分けを行い、レベルに合った授業を受ける大学もあります。音楽高校や高校の音楽科でも同じように授業があり、大学院の入試で課されることもあります。音楽の学校で学ぶ人にとって、ソルフェージュは入試のための科目ではなく、専門の演奏を支える基礎として長く付き合う科目です。
ソルフェージュの力を測る検定
受験以外で自分の力を確かめたい場合は、音楽の検定を目安にする方法があります。たとえばヤマハ音楽振興会のヤマハグレード(音楽能力検定)では、演奏グレードの試験の中に、聴いたメロディや和音を演奏で再現する「聴奏」などの科目があり、級ごとに求められる力が示されています。検定の問題集や過去の課題も市販されているので、テストの形式に慣れる練習にも使えます。科目や級の内容は改訂されることがあるので、受験する場合は公式サイトの受験要項を確認してください。
ソルフェージュ教室・レッスンの選び方
独学で基礎を進めるのと並行して、または受験や本格的な上達を目指して、ソルフェージュ教室やレッスンに通うのも有力な選択肢です。ソルフェージュを習える場所は、専門のソルフェージュ教室のほか、ピアノ教室や音楽教室のコース、音大受験の予備校・塾、音楽スクール、個人の先生のサロン、オンラインレッスンや通信教育の講座など多岐にわたります。
目的別に選ぶ
- 子どもの基礎づくり
- ヤマハ音楽教室やカワイ音楽教室などの大手の音楽教室、地域のピアノ教室の子ども向けコース。グループレッスンで友だちと歌いながら学べるクラスが多い。対象年齢やコースの内容、口コミ・評判は教室ごとに違うので、体験レッスンで雰囲気を確かめるとよい
- 音大受験
- 音大受験に対応したソルフェージュ教室や、音大出身の先生の個人レッスン。志望校の出題傾向に合わせた新曲視唱・聴音・楽典の対策ができるかを確認する
- 大人の趣味・歌の上達
- 大人向けのソルフェージュ教室のほか、ボイストレーニング教室で音程やリズムのトレーニングとして取り入れる方法もある。通う時間が取れない人はオンラインレッスンも選択肢になる
レッスンの内容と教室選びのチェックポイント
- レッスン内容: 視唱・聴音・リズム・楽典のうち、何をどの割合でやるか。自分の目的(歌の音程、受験、楽器の上達)に合っているか
- 移動ドか固定ドか: 教室の方針と、これまでの学習や通っているピアノ教室の方針が合っているか
- 個人かグループか: 個人レッスンは弱点に合わせた指導、グループレッスンは他の人の歌を聴いて学べる良さがある
- 先生の専門: 声楽・ピアノ・作曲など、先生の専門分野と自分の目的が近いか
- 月謝・料金: 月謝やレッスン料金の値段は、個人かグループか、1回の時間、地域によって大きく異なる。入会金・教材費を含めた総額で比べる
体験レッスンで確かめたいこと
多くの教室には体験レッスンがあります。体験では、自分の今のレベルをどう見立ててくれるか、課題が難しすぎないか、先生の説明がわかりやすいかを確かめましょう。大人の場合は「どのくらいの期間で何ができるようになりたいか」を伝えると、レッスンの進め方を具体的に提案してもらえます。歌の音程やリズムを伸ばしたいなら、ソルフェージュの要素を取り入れたボイストレーニング教室を探すのも近道です。お住まいの地域の教室はボイトレ教室検索から探せます。
よくある質問
- ソルフェージュは大人になってからでも独学できますか?
- できます。入門〜初級の視唱・リズム・短い聴音は、音源つきの教本と鍵盤(アプリでも可)があれば独学で進められます。自分の音程のずれに気づきにくいのが独学の弱点なので、録音して聴き返す習慣をつけ、必要に応じて教室で数回チェックしてもらうと効率的です。
- どのくらい続けると効果が出ますか?
- 個人差がありますが、1日15分ほどの練習を毎日続けると、数週間〜数か月で「ドを取れば簡単なメロディが歌える」「短いメロディのリズムが打てる」といった変化を感じる人が多いです。長時間をたまにやるより、短時間を毎日続けるほうが身につきます。音大受験のレベルを目指す場合は、何年もかけて段階的に積み上げるのが一般的です。
- ソルフェージュをすると絶対音感がつきますか?
- ソルフェージュで主に育つのは、基準の音から他の音を取る相対音感です。絶対音感は幼児期の訓練で身につきやすいとされ、大人になってからの獲得は難しいと言われます。ただ、歌や合奏で実際に使うのは相対音感なので、絶対音感がなくても困ることはほとんどありません。
- 移動ドと固定ド、どちらで練習すればいいですか?
- 歌が目的なら、どの調でも音の並び方が同じに感じられる移動ドがおすすめです。ピアノ教室や音大受験で固定ドの環境にいる場合は、それに合わせたほうが混乱しません。どちらを選んでも、1つの教本・教室の中で読み方を混ぜないことが大切です。
- ボイトレとソルフェージュはどちらを先にやるべきですか?
- 声が出にくい・高音が苦しいといった悩みがあるならボイトレ、声は出るのに音程やリズムが合わないならソルフェージュを優先しましょう。両者は鍛える場所が違うので、並行して進めるのが上達の近道です。
まとめ
ソルフェージュは、視唱・聴音・リズム・楽典の4つを通して楽譜と音を結びつける音楽の基礎訓練です。語源はドレミの階名にさかのぼり、ピアノや吹奏楽、声楽、音大受験まで、音楽を学ぶあらゆる人の土台になっています。
- ソルフェージュの意味は「楽譜を見れば音が浮かび、音を聴けば楽譜が浮かぶ」力を育てること
- 歌う人には、頭の中の音を正確にして音程を安定させる効果がある。発声を鍛えるボイトレとは役割が違う
- 大人でも独学できる。音源つきの教本・鍵盤・メトロノームで、毎日15分を続ける
- できないと感じたら、読譜・リズム・音程のどこでつまずいているかを切り分け、課題のレベルを1つ戻す
- 子どもは2〜3歳のリトミックや遊びから、4〜6歳ごろにドレミで歌う入門へ
- 音大受験では新曲視唱・聴音・楽典が基本。志望校の募集要項と過去問から逆算する
音程やリズムを「なんとなく」ではなく確かなものにできると、歌はぐっと安定します。ひとりで練習して伸び悩んだら、ソルフェージュの要素も取り入れて指導してくれるボイストレーニングの先生に相談してみましょう。お近くの教室はボイトレ教室検索で、体験レッスンのある教室から探せます。音程そのものの基礎は音程の記事もあわせて読んでみてください。

