ハミングとは|意味・語源・鼻歌との違い

ハミングとは、唇を軽く閉じたまま声を出し、「ん〜」「む〜」という音でメロディを歌うことです。歌詞を使わず、口の代わりに鼻から音を響かせるのが特徴で、日本語では「ハミングする」「ハミングで歌う」のように使い、ひらがなで「はみんぐ」と書かれることもあります。音楽の場面では、歌詞のない伴奏的なコーラスや、ボイストレーニングの発声練習として広く使われている技法です。

ハミングの意味と語源・由来

ハミングは英語の hum(ハム)に由来する言葉で、humming は「ハミングすること」を指します。hum はもともと、蜂の羽音やモーターの「ブーン」という低い連続音を真似た擬音から生まれた語です。小さな鳥のハチドリが英語でハミングバード(hummingbird)と呼ばれるのも、速い羽ばたきが「ブーン」と鳴ることが由来とされています。つまり言葉の意味としては「口を閉じて出す、途切れない低いうなり音」が核にあり、音楽ではそれがメロディを乗せた歌い方を指すようになりました。

英語表記は humming で、「hum a song(歌をハミングする)」「hum along(一緒にハミングする)」のように使い、擬音としては「hmm-hmm」と書かれます。日本語の擬音では「ふんふん」「フフフン」「ん〜ん〜」あたりが近い表現です。

鼻歌・口ずさむとの違い

ハミングとよく混同されるのが鼻歌です。鼻歌は「気分よく何となく歌うこと」という状況を表す言葉で、口を閉じていても、「ふんふん」と少し口を開けていても鼻歌と呼びます。一方のハミングは口を閉じて鼻に響かせる発声方法そのものを指します。鼻歌の多くはハミングで歌われるので重なる部分は大きいものの、ボイトレで「ハミングしてください」と言われたら、口をしっかり閉じた状態で音を鼻に響かせる、という意味になります。

似た言葉の「口ずさむ」は、歌詞も含めて小声で軽く歌うことです。言い換えの類語としては「鼻歌」「ハム」「ハミングコーラス(合唱の場合)」が使われます。

スキャット・ヴォカリーズとの違い

歌詞を使わない歌い方はハミング以外にもあります。ジャズで「ダバダバ」「シュビドゥビ」のような音節を即興で当てはめるのがスキャット、「ア〜」や「ルルル」「ラララ」のように口を開けて母音や決まった音で歌うのがヴォカリーズです。違いは口の開き方で整理すると分かりやすく、口を閉じたままなのはハミングだけです。

歌詞を使わない4つの歌い方の違い 歌詞を使わない歌い方 ハミング 口を閉じて鼻に響かせる 鼻歌 気軽に歌う状況の呼び名 スキャット 口を開け即興の音節で ヴォカリーズ 口を開け母音で歌う
口を閉じたまま歌うのはハミングだけ。鼻歌は歌い方ではなく「気軽に歌う状況」を指す言葉

ハミングの仕組み|声帯・鼻腔共鳴・口の形

ハミングは「声を出さない練習」と誤解されることがありますが、実際には声帯はふつうに振動して声を出しています。違うのは音の出口です。口を閉じているため、声帯で生まれた音は喉(咽頭)を通って鼻へ抜け、鼻の奥の空間で響いてから外に出ます。口の中で母音を作らない分、声の「響き」そのものに意識を向けやすいのがハミングの特徴です。

声帯と息の流れ

発声の仕組みはふだんの声と同じで、肺からの息が閉じた声帯を細かく振動させて音の元が生まれます。ハミングでは唇が閉じていて、息の出口が鼻の穴だけに狭まります。このように声の通り道の一部を狭める練習は、ボイトレでは「半閉鎖声道(SOVT)エクササイズ」と呼ばれ、リップロールやストロー発声と同じ仲間です。出口が狭いと声帯の上側にわずかな圧がかかり、少ない息でも声帯が効率よく振動しやすくなると考えられています。声帯の構造そのものは声帯の記事で詳しく解説しています。

鼻腔共鳴と響かせ方

ハミングで音が鼻に抜けるのは、上あごの奥にある軟口蓋(なんこうがい)が下がり、鼻への通り道が開いているからです。音は鼻腔(鼻の奥の空洞)で響き、鼻筋や頬、唇がビリビリと振動します。この振動が感じられれば、響かせ方としては正解です。ハミングは、歌声を明るく前に響かせる鼻腔共鳴の感覚をつかむ入口としてよく使われます。

ハミングで声が通る道筋 声帯 咽頭 鼻腔 口 唇を閉じる 外へ
声帯で生まれた音は咽頭から鼻腔へ抜ける。唇を閉じるので口からは出ない

正しい口の形

口の形は「唇だけ軽く閉じて、歯と歯の間は少し離す」が基本です。奥歯を噛みしめたり唇を強く結んだりすると、あごと喉に力が入り、響きがこもります。口の中は、あくびをかみ殺したときのように少し空間を残し、舌は下の前歯の裏に軽く触れる位置で力を抜いておきます。

「ハミングで口開けるのはあり?」と迷う人もいますが、口を開けるハミングもあります。舌の奥を上あごの奥に付けて「ング〜」と鼻に抜く方法で、口を開けて歌う形に近いまま鼻腔の響きを確かめられるため、ハミングから歌詞のある発声へ移る途中の練習として使われます。

ハミングのやり方|正しい出し方と4ステップ

ハミングの正しいやり方は、難しい技術ではなく「力を抜いて、鼻に響きを集める」ことに尽きます。初めての人は次の4ステップで出し方を確認してみてください。1回の練習は数分で十分です。

  1. 姿勢を整える:足を肩幅に開いて立ち、肩と首の力を抜きます。座って行う場合も背もたれに寄りかからず、背筋を軽く伸ばします。
  2. 鼻から息を吸う:口を閉じたまま、お腹まわりがふくらむのを感じながら鼻から静かに息を吸います。
  3. 「ん〜」と声を出す:唇を軽く閉じ、歯は離したまま、話し声くらいの楽な高さで「ん〜」と5〜10秒伸ばします。
  4. 振動を確かめる:鼻筋や唇に指を当て、ビリビリと振動していれば合格です。響きが弱ければ音量ではなく位置(鼻の前側)を意識します。
ハミングの出し方の4ステップ STEP1 姿勢 STEP2 鼻で吸う STEP3 「ん〜」 STEP4 振動確認
姿勢→鼻から吸う→「ん〜」と伸ばす→鼻や唇の振動を確かめる、の順に進める

上手なハミングのコツ

  • 音量は小さめでよい:大きな声を出す必要はありません。響きが鼻の前に集まっていれば、小さな声でも振動は感じられます。
  • 「ん」と「む」を使い分ける:ハミングの種類は、唇を閉じる「む〜(m)」、舌先を上の歯の裏に付ける「ん〜(n)」、舌の奥を上あごに付ける「ング〜(ng)」の3つに大きく分かれます。「む〜(m)」は唇、「ん〜(n)」は鼻の付け根に響きを感じやすい音です。感覚がつかみにくい人は両方試してみてください。
  • ため息から始める:「はぁ〜」と力の抜けたため息を出し、途中で唇を閉じて「ん〜」に変えると、喉に力を入れずに声を出す感覚がつかめます。
  • 口元に笑顔を作る:頬を少し持ち上げると鼻の周りに空間ができ、響きが明るくなります。

ハミングの歌い方と使い方

1音で響きがつかめたら、好きな曲のメロディをハミングで歌ってみましょう。歌詞がない分、音程と響きだけに集中できます。プロの歌手もステージ前のウォームアップに取り入れることが多く、ボイトレでは、ウォームアップとして最初に使う、練習曲のメロディを覚えるときにまずハミングでなぞる、歌詞で歌って苦しくなった箇所をハミングに戻して響きを確かめる、といった使い方が定番です。ハミングがうまくできない場合の原因と対処は後半の章で解説します。

ハミングで歌が上手くなる効果とメリット

「ハミングで歌上手くなる?」と検索されることが多いように、ハミングがボイトレの定番になっているのは、歌うときに邪魔になる「喉の力み」を減らしながら、響き・音程・息の使い方を同時に整えられるからです。ここでは、ハミングを続けることで歌が上手くなる理由を4つの効果に分けて説明します。

効果1:喉の力みが抜ける

口を閉じたハミングでは大きな声を出しにくく、自然と小さく楽な声になります。さらに前の章で触れた半閉鎖の状態(出口が狭い状態)では、少ない息で声帯が振動しやすくなるため、喉を締めて押し出す癖(喉締め)が出にくいのがメリットです。力まずに声が出る感覚を体に覚えさせることが、高音や長いフレーズを楽に歌う土台になります。

効果2:響きの位置がわかる

ハミングでは鼻筋や唇の振動という「目印」があるため、声がどこで響いているかを自分で確かめられます。その響きを保ったまま口を開けて歌うと、こもりがちだった地声が明るく通る声に変わります。カラオケで「声が前に出ない」と感じる人ほど効果を実感しやすい練習です。

効果3:音程が安定する

歌詞を追う必要がないので、耳はメロディの高さだけに集中できます。ピアノやアプリの音に合わせてハミングで音を取ると、ズレたときにすぐ気づけるようになり、音程の精度が上がります。音程の取り方そのものは歌の音程の記事も参考にしてください。

効果4:声帯がきれいに閉じる

息がもれた「スカスカの声」になる人は、声帯がしっかり閉じていないことがあります。ハミングは息の出口が狭く、息もれが少ない状態で声帯を振動させやすいため、声帯閉鎖の感覚を安全に練習する入口になります。ただし強く押し付けるのではなく、楽な声でまとまった音が出ることを目安にしてください。声帯を閉じる感覚をつかむ練習としては、低い声で「ア゛ア゛ア゛」と鳴らすエッジボイスもよく併用されます。

ハミングが歌に効く4つの効果 ハミング 力みが抜ける 響きがわかる 音程が安定 声帯が閉じる
ハミングは力み・響き・音程・声帯の閉じ方の4つを同時に整えられる

ハミングは意味ない?と言われる理由

「ハミング練習は意味ない」という声が出るのは、ハミングだけを続けても歌詞で歌うときに響きが元に戻ってしまうケースがあるからです。ハミングをする意味は、あくまで正しい響きと力の抜け方を確認する「基準づくり」にあります。ハミングで作った感覚を、次の章の練習メニューのように母音や歌詞へつなげてはじめて、歌が上手くなる効果として表れます。ボイトレ全体の中での位置づけは歌が上手くなる方法でまとめています。

ボイトレでのハミング練習方法|5分でできる発声練習メニュー

ハミングはボイストレーニングの教室でもウォームアップの定番です。ここでは自宅で毎日できる5分間の練習メニューを紹介します。1日数分を毎日続ける方が、たまに長時間やるより効果的です。歌う前の準備運動として、この順番で行ってみてください。

5分間のハミング練習メニューの流れ ロング トーン 5音 スケール サイレン 上下に m→母音 口を開く 曲を ハミング 1分 1分 1分 1分 1分
1音を伸ばす→音階→上下のサイレン→母音へ開く→曲の順に、1分ずつ広げていく

1. ロングトーン(1分)

話し声くらいの楽な高さで「ん〜」を8〜10秒伸ばし、少し休んでくり返します。音量と響きが最後まで揺れないことが目標です。音を一定に伸ばす練習の詳しいやり方はロングトーンの記事で解説しています。

2. 5音スケール(1分)

「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ファ・ミ・レ・ド」をハミングで歌い、半音ずつ上げ下げします。ピアノなどの楽器やキーボードアプリで音を鳴らしながら行うと、音程がズレていないかを確かめられます。楽器が無ければ、スマートフォンの音階アプリや練習用の動画でも代わりになります。

3. サイレン(1分)

救急車のサイレンのように、低い音から高い音まで「ん〜↗↘」となめらかにスライドさせます。途中で声がひっくり返っても構いません。音域の上下を響きを保ったまま行き来することで、地声と裏声の切り替わりがなめらかになっていきます。

4. m→母音へ開く(1分)

「ん〜〜ま〜」「ん〜〜も〜」のように、ハミングの響きを保ったまま口を開けて母音に移ります。ハミングの感覚を歌声に持ち込むいちばん大事なステップで、口を開けた瞬間に響きが喉に落ちないかを確認します。

5. 曲をハミングで歌う(1分)

最後に歌いたい曲のサビなどをハミングで歌い、同じ響きのまま歌詞で歌ってみます。発声練習で作った感覚が、実際の曲でどれだけ保てるかを確かめる仕上げのトレーニングです。

ハミングで高音を出すコツとミックスボイスへのつなげ方

高い音になると喉が締まって苦しくなる人にとって、ハミングは高音練習の強い味方です。口を閉じているので大声で押し上げることができず、力ではなく響きで高い音を出す感覚を練習しやすいからです。

ハミングで高い音を出す手順

  1. 楽に出せる高さで「ん〜」と響きを確認します。
  2. 5音スケールを半音ずつ上げ、苦しくなる手前の高さで止めます。
  3. その高さで音量を半分に落とし、鼻筋から眉間のあたりに響きを集めるイメージで伸ばします。
  4. 余裕が出てきたら、さらに半音上げます。

高い声が出ないときに多いのは、あごが上がる、音量で押し上げる、の2つです。あごは軽く引き、音が上がるほど息と声を細くしていくのがコツです。無理に高さを追わず、1回の練習で半音〜1音広がれば十分です。

男性の高音練習にハミングが向く理由

男性は話し声の地声と高音の裏声の差が大きく、切り替わりで声がひっくり返りやすい傾向があります。ハミングのサイレンで低音から高音までをつなげて練習すると、この切り替わりを小さな音量で何度も通過できるため、喉への負担を抑えながら慣れることができます。女性でも、地声から裏声に移るところで声が弱くなる人には同じ練習が役立ちます。

ミックスボイスへのつなげ方

ミックスボイスは、地声の芯と裏声の軽さを混ぜたような高音の出し方です。ハミングで高音を出すと、自然と軽い声帯の使い方になりつつ、鼻腔に響きがまとまった状態になります。この状態から「ん〜〜ま〜」と口を開いて母音に移ると、張り上げない高音の感覚がつかめます。詳しい練習法はミックスボイスの記事、裏声側の響きはヘッドボイスの記事を参考にしてください。

ハミングの響きを保って母音に開く流れ ん〜 口を閉じる んま〜 少し開く 歌詞 響きを保つ 高音ほど口を開いても鼻の響きを手放さない
ハミングで作った響きを保ったまま「んま〜」を経由して歌詞へ移ると、高音で喉が締まりにくい

ハミングで喉が痛い・うまくできないときの原因と対処

ハミングは本来、喉への負担が少ない練習です。それでも喉が痛い、響きが感じられない、息苦しいといった状態になるときは、やり方のどこかに無理があるサインです。よくある症状を原因と対処法に分けて整理します。

ハミングの困りごとと主な原因の対応 症状 主な原因 喉が痛い 音量・高さの無理 響かない 奥歯・舌の力み 息苦しい 鼻づまり・長すぎ
喉の痛みは無理な音量や高さ、響かないのは口まわりの力み、息苦しさは鼻づまりや伸ばしすぎが主な原因

喉が痛い・喉締めになる場合

ハミングで喉が痛いと感じる原因の多くは、大きな音量や高すぎる音で押し出していることです。口を閉じた状態で強く声を出そうとすると、喉を締めて音を絞り出す癖が出やすくなります。音量を半分に落とし、話し声くらいの高さに戻してやり直してください。首の前側を触って筋肉が固く張っていたら力みのサインです。ため息から「ん〜」に移る方法で、脱力した状態を作り直します。

それでも痛みや声のかすれが数日続く場合は、練習を休んで耳鼻咽喉科を受診してください。痛みをこらえて続けるのは逆効果です。

響きが感じられない・うまくできない場合

鼻や唇が振動しない、こもった音になる、という人は、奥歯を噛みしめているか、舌の奥が盛り上がって音の通り道をふさいでいることがほとんどです。歯と歯の間を指1本分ほど空け、舌先を下の前歯の裏に置きます。それでも響きがつかめない場合は、「む〜」で唇をかすかに震わせる、口を開けた「ング〜」から始める、の順で試すとできない状態から抜け出しやすくなります。

息苦しい・鼻づまりがある場合

ハミングは鼻から息と音が抜けるため、鼻づまりがあると苦しくなります。花粉症や風邪で鼻が通りにくい日は、口を開けた「ング〜」や、ストローをくわえて声を出す練習に切り替えましょう。また、1回を10秒以内に区切り、毎回しっかり鼻から吸い直すだけでも苦しさは減ります。

合唱・曲の中のハミング|楽譜の表記と歌い方

ハミングは練習法であると同時に、れっきとした歌唱の技法でもあります。特に合唱では、主旋律の後ろで柔らかい和音を支える「ハミングコーラス」として頻繁に使われます。ポップスでも、イントロやアウトロ、間奏にハミングを重ねて、歌詞のある部分とは違う柔らかな雰囲気を作る曲は少なくありません。

楽譜でのハミングの表記と記号

楽譜では、ハミングで歌う部分に文字で指示が書かれます。専用の音符記号があるわけではなく、歌詞の位置や音符の上に次のような表記が入るのが一般的です。

楽譜の表記意味・歌い方
hum. / humming英語の指示。口を閉じてハミングで歌う
bocca chiusa(b.c.)イタリア語で「閉じた口」。ハミングと同じ
m / mm唇を閉じた「む」の音でハミングする
n / ng「ん」の音でハミングする。明るく響かせたいとき
(ハミング)日本語の合唱譜で使われる表記

有名な例が、プッチーニのオペラ『蝶々夫人』の「ハミング・コーラス」です。楽譜にはイタリア語で「a bocca chiusa(口を閉じて)」と書かれ、合唱が歌詞を使わずに旋律を奏でます。表記が「m」か「n」かで響きの明るさが変わるため、指示があれば書かれた音で歌い分けます。

楽譜のハミング表記と唇の状態の対応 hum. bocca chiusa m / n 口を閉じてハミングで歌う
英語・イタリア語・子音の表記はどれも「口を閉じて歌う」指示。mとnは響きの明るさの違い

合唱でのハミングのやり方

合唱のハミングは、一人で練習するときよりも音量を控えめにし、周りと響きを溶け合わせることが大切です。ハミングは口を閉じているぶん音程のズレが目立ちやすいので、和音の中で自分のパートの音をよく聴きながら歌います。長く伸ばす部分では、息を吸うタイミングをパート内でずらす「カンニングブレス」を使うと、音が途切れずに続きます。

ポップスの曲でハミングを歌うとき

ハミングを印象的に使ったポップスはハミングソングとも呼ばれます。ポップスの曲でハミングのパートを歌うときは、マイクに声が乗りにくい点に注意します。口を閉じた音は小さいので、マイクを口元に近づけ、鼻の響きを少しだけ強めに出すとバランスが取れます。「ルルル」「ウー」と書かれたコーラスは口を開けて歌うパートなので、ハミングと区別して歌い分けましょう。

ハミングで曲を探す方法|鼻歌検索のやり方

頭の中に流れているメロディが「なんの曲だったか思い出せない」ときは、ハミングで曲検索ができます。歌詞やタイトルが分からなくても、メロディを10〜15秒ほどハミングするだけで、候補の曲名を探してくれる機能です。音楽検索の中でも「鼻歌検索」と呼ばれ、曲名検索・楽曲検索の手段として定着しています。「なんの歌だっけ」というときの曲探しに便利です。

Google(グーグル)アプリで検索する

代表的なのが Google の「ハミング検索(Hum to Search)」です。スマートフォンの Google アプリで検索バーのマイクをタップし、「曲を検索」を選んでからハミングすると、一致しそうな曲の候補が表示されます。音程が正確でなくても、メロディの上がり下がりの形から候補を探してくれるのが特徴で、iPhone でも Android でも Google アプリから使えます。

ハミングで曲を探す3つの手順 1 アプリを開く 2 10〜15秒歌う 3 候補を確認
検索アプリを開き、メロディを10〜15秒ハミングして、表示された曲名の候補から選ぶ

YouTube Music などのアプリで検索する

YouTube Music のアプリにも、検索画面の波形アイコンからハミングや歌声で曲を探せる機能があります。ほかにも鼻歌に対応した音楽認識アプリがありますが、スピーカーから流れる原曲の録音を照合するタイプのアプリでは、ハミングを認識できないことがあります。対応しているかどうかは各アプリの説明を確認してください。パソコン(PC)のブラウザからは使えない機能も多いため、基本はスマートフォンのアプリで行うのが確実です。対応端末や言語、画面の名称は変わることがあるので、最新情報は各公式サイトのヘルプで確認しましょう。

曲名が見つかりやすいハミングのコツ

  • いちばん印象的な部分を歌う:サビや、何度も繰り返されるフレーズを選びます。
  • リズムをはっきりさせる:「ん〜」で伸ばし続けるより、「ふんふん」「タタタ」と音を区切ると、メロディの形が伝わりやすくなります。
  • 静かな場所で、マイクに近づいて:周りの音が入ると認識の精度が落ちます。

音程をしっかり取る練習をしておくと、鼻歌検索のヒット率も上がります。ハミングで正確に音を取る力は、そのまま歌の音程の安定にもつながります。

ハミングの健康効果とリラックス効果

ハミングは歌の練習だけでなく、健康やリラックスのための習慣としても紹介されることが増えています。ただし、ネット上には確かめられている話と、まだ仮説の段階の話が混ざっています。ここでは両者を分けて紹介します。

研究で示されていること:鼻の一酸化窒素(NO)が増える

比較的よく知られているのが、2002年に発表された研究です。健康な成人を対象に鼻から出る息の一酸化窒素(NO)を測ったところ、ハミングをしているときは、静かに息を吐くときの約15倍に増えたと報告されています。ハミングの音の振動で鼻と副鼻腔の間の空気の入れ替わりが盛んになるためと考えられています。一酸化窒素は鼻や副鼻腔でつくられ、空気の通り道の働きに関わる物質です。ただし、この結果から「ハミングで病気が治る・予防できる」とまでは言えません。症状がある場合は医療機関に相談してください。

言われていること:脳や迷走神経、瞑想への効果

ハミングで頭や顔が振動することから、「脳がリラックスする」「迷走神経が刺激されて副交感神経が優位になる」といった効果もよく紹介されます。ヨガには、蜂の羽音のようにハミングしながら息を吐く「ブラーマリー呼吸」という呼吸法があり、瞑想の前に心を落ち着かせる方法として使われています。

こうしたリラックス効果については小規模な研究や体験談が中心で、効果の大きさや仕組みは十分に確かめられているとは言えません。とはいえ、ゆっくり息を吐きながら小さな声でハミングすると、呼吸が自然と長く深くなり、気持ちが落ち着くと感じる人は多いでしょう。本番前の緊張をほぐす方法として取り入れるのは、歌う人にとって理にかなっています。

ハミングの健康効果の確かさの違い 研究で示された 仮説・体験談が中心 鼻の一酸化窒素が 約15倍に増える (2002年の研究) 脳のリラックス 迷走神経への刺激 瞑想・睡眠の助け
一酸化窒素の増加は研究で示されているが、脳や神経への効果は確かめられている途中の話

健康目的で行うときの注意

  • 1回数分、小さな声で、喉が疲れない範囲で行います。
  • 持病や喉・鼻の症状がある人は、健康法としてではなく医師の指示を優先します。
  • 「ハミングだけで○○が治る」とうたう情報や商品には注意しましょう。

よくある質問

ハミングは1日何分くらい練習すればいいですか?
歌う前のウォームアップとして3〜5分が目安です。長時間続けるより、毎日短く続ける方が響きの感覚が定着します。喉に疲れや違和感が出たら、その日は切り上げてください。
ハミングだけで歌は上手くなりますか?
ハミングは響きと脱力の「基準」を作る練習で、それだけで歌全体が上手くなるわけではありません。「ん〜〜ま〜」のように母音へ開く練習を組み合わせ、歌詞で歌うときにも同じ響きを保てるようにすることで効果が出ます。
夜や集合住宅でもハミングで練習できますか?
口を閉じるため音量が小さく、声を出す練習の中では周りに響きにくい方法です。ただし高音や大きめの音では意外と響くので、夜は話し声程度の高さ・音量に抑えましょう。
ハミングのとき、歯は閉じますか?
閉じるのは唇だけで、歯と歯の間は少し空けます。奥歯を噛みしめるとあごや喉に力が入り、響きがこもって喉が疲れる原因になります。
ハミングって何?英語で何と言いますか?
英語では humming(動詞は hum)です。「hum a song」で歌をハミングする、「hum along」で一緒にハミングする、という意味になります。

まとめ

ハミングとは、唇を閉じたまま声を出し、鼻に響かせてメロディを歌う発声です。声帯はふつうに振動しており、音が鼻腔へ抜けることで鼻筋や唇に振動が生まれます。鼻歌は「気軽に歌う状況」、ハミングは「口を閉じて鼻に響かせる歌い方」と整理すると違いが分かりやすくなります。

  • やり方の基本は、唇だけを閉じて歯は離し、楽な高さ・小さな音量で「ん〜」と伸ばすこと
  • 歌が上手くなる効果は、喉の力みが抜ける・響きの位置がわかる・音程が安定する・声帯がきれいに閉じるの4つ
  • 練習はロングトーン→5音スケール→サイレン→母音へ開く→曲の順に、1日5分ほど
  • 喉が痛いときは音量と高さを下げ、痛みが続くなら練習を休んで耳鼻咽喉科へ
  • 合唱の楽譜では hum. や bocca chiusa、m・n などの表記でハミングを指示する

ハミングは一人でも始められますが、自分の響きが正しいかどうかは、自分の耳だけでは判断しにくいものです。響きの位置や力みのクセをプロに確かめてもらうと、上達のスピードは大きく変わります。お近くのボイトレ教室はボイトレ教室検索から、体験レッスンのある教室を探してみてください。