ロングトーンとは|歌・音楽での意味

ロングトーンとは、ひとつの音を同じ高さ・同じ音量・同じ音色のまま、途切れさせずに長く伸ばすことです。歌では「サビの最後の一音を長く伸ばす」ような場面の歌い方を指し、ボイストレーニングや吹奏楽では「ひとつの音を決めた拍数だけまっすぐ伸ばす基礎練習」の名前としても使われます。つまり、ロングトーンには表現としてのロングトーンと練習メニューとしてのロングトーンという2つの顔があります。

ロングトーンとは歌において、ただ長く声を出し続けることではありません。音程がふらつかない、声量が途中でしぼまない、声がかすれないという3つがそろって、はじめて「きれいなロングトーン」と呼べます。長さよりもまっすぐさが評価の中心だと覚えておくと、練習の方向を間違えません。

ロングトーンの定義|3つの「変えない」

ロングトーンを定義すると、次の3つを変えずに音を保つことになります。

  1. 音程を変えない: 伸ばしている間、最初に当てた音の高さを保つ(途中で下がったり上がったりしない)
  2. 音量を変えない: 息が減ってきても、声の大きさを一定に保つ(意図的に強弱をつける場合を除く)
  3. 音色を変えない: 声がかすれたり、ガラガラしたり、息もれが増えたりしない

この3つのうちどれかが崩れると、聴き手には「声が揺れている」「最後が苦しそう」と伝わります。逆に言えば、ロングトーンの練習とは、この3つを保つための息の量と声帯の閉じ方のバランスを体に覚えさせる作業です。

ロングトーンは音程をまっすぐ保って伸ばす きれいなロングトーン 崩れたロングトーン 揺れながら音程が下がっていく 高さ・音量・音色が最後まで同じ
上はまっすぐ伸びたロングトーン。下は揺れながら音程が下がっていく崩れたロングトーン

ロングトーンの英語・言い換え・反対語

ロングトーンはもともと英語のlong tone(長い音)で、英語でも楽器や歌の基礎練習として「long tone exercise」「long tones」と呼ばれます。英語圏のボーカルレッスンでは「sustained note(持続音)」「hold a note(音を保つ)」という言い方もよく使われ、海外の動画や解説を探すときはこちらで調べると見つかりやすくなります。

日本語で言い換えるなら「音を伸ばす」「伸ばし」「持続音」「長音」が近い類語・別の言い方です。反対語(対義語)にあたる決まった用語はありませんが、音を短く切って演奏するスタッカートが、長く保つロングトーンの逆のイメージとしてよく挙げられます。また、音を切らずになめらかにつなぐレガートは「つなぐ」、ロングトーンは「保つ」という違いがあります。

ロングトーンとロングブレスの違い

よく混同されるのがロングブレスです。ロングブレスは「スーッ」と声を出さずに息だけを長く一定に吐く呼吸の練習で、声帯は振動させません。ロングトーンは実際に声(音)を出して伸ばす練習です。

項目ロングトーンロングブレス
出すもの声・音息だけ(無声)
鍛えるところ息と声帯の連携、音程の安定息を一定に吐き続ける力
練習の順番ロングブレスの後ロングトーンの前段階

ロングブレスで息を一定に吐く感覚をつかんでから、同じ息の流れに声を乗せるのがロングトーンだと考えると、2つの練習のつながりがわかりやすくなります。

ロングトーンを練習する目的と効果

「ただ音を伸ばすだけの練習をする意味はあるの?なんのためにやるの?」と感じる人は少なくありません。ロングトーンの目的は、歌の土台になる「息・声帯・共鳴」の3つを、いちばん単純な形で同時に整えることです。曲を歌うと音程やリズム、歌詞に意識が散りますが、ロングトーンでは1音だけに集中できるため、自分の声の癖がはっきり見えます。ボイトレ(ボイストレーニング)の基礎練習や発声練習の定番になっているのはこのためです。

ロングトーンで得られる5つの効果・メリット

  • 息のコントロール力が上がる: 吐く息の量を一定に保つ訓練になり、フレーズの途中で息切れしにくくなります
  • 音程が安定する: 1つの音を保ち続けることで、音程がずれたときに気づく耳と、戻す感覚が育ちます
  • 声が太く、響きのある声になる: 声帯が効率よく閉じる感覚と、口や喉の共鳴を保つ感覚が身につき、歌声の芯が安定します
  • 声量が安定する: 息が減ってもしぼまない支えの感覚がつき、サビの最後まで声量を保てます
  • 自分の声の状態がわかる: 毎日同じ音で伸ばすと、喉の疲れや体調による変化に気づきやすくなります

これらはどれも「曲を上手に歌う」ための部品です。ロングトーンが上手くなると、サビの伸ばしだけでなく、フレーズ全体の安定感や、ビブラートなどのテクニックの土台も整っていきます。

ロングトーンで意識すること・大切なこと

ロングトーンの練習でいちばん大切なのは、長さを競わないことです。何秒伸ばせたかは結果であって目的ではありません。初めのうちは、短くてもよいので「最初から最後まで同じ声」で伸ばすことを最優先にします。無理に長く伸ばそうとして喉を締めると、かえって喉を痛めたり、悪い癖がついたりします。

もうひとつ大切なのは、毎日少しずつ続けることです。ロングトーンは1日に長時間やるより、1回5〜10分を毎日続けるほうが効果を感じやすい練習です。声の調子がよくない日は、低めの楽な音で短めに行い、痛みや違和感が続く場合は練習を休んで耳鼻咽喉科に相談してください。

ロングトーンは息・声帯・共鳴を同時に整える 息 一定に吐く 声帯 ほどよく閉じる 共鳴 響きを保つ 3つが同時にそろうと音がまっすぐ伸びる
ロングトーンは、一定の息を声帯がほどよく閉じて音に変え、その響きを保つ練習

図のように、息・声帯・共鳴の3つのうちどれかが崩れると、ロングトーンは揺れたり途切れたりします。練習中にうまくいかないときは、この3つのどこで崩れているかを考えると原因が見つけやすくなります。歌の練習全体の組み立て方はボイストレーニングの基本もあわせて参考にしてください。

ロングトーンのやり方・出し方|基本の5ステップ

ロングトーンのやり方は、準備から伸ばし終わりまでを5つのステップに分けると迷いません。ここでは歌のロングトーンの出し方(「だし方」と検索されることもあります)を、初めての人でもそのまま試せる順番で紹介します。どのステップも「力を入れる」より「余計な力を抜く」ことがコツです。

ステップ1: 姿勢を整える

足を肩幅に開いて立ち、頭のてっぺんを上から軽く引っ張られるイメージで背筋を伸ばします。肩・首・あごの力は抜き、胸は張りすぎず自然に。座って練習する場合も、背もたれに寄りかからず骨盤を立てて座ります。姿勢が崩れていると息の通り道が狭くなり、ロングトーンが続かない原因になります。

ステップ2: 息を吸う(腹式呼吸)

鼻または口から、お腹まわり(みぞおちから脇腹、背中)がふくらむように息を吸います。肩が上がる吸い方(胸式呼吸)だと、吐くときに体が一気にしぼんで息が続きません。ロングトーンでは吸う量より、吐く息をコントロールできる姿勢で吸うことが重要です。呼吸法の基本は腹式呼吸のやり方で詳しく解説しています。

ステップ3: 音をまっすぐ当てる

最初は自分が楽に出せる中くらいの高さの音を選びます。ピアノやキーボード、チューナーアプリで音を確認し、母音「あ」や「う」で、音の出だしから目標の高さにぴたりと当てます。下からずり上げて入る(しゃくる)と、その後の音程も不安定になりがちなので、入りはまっすぐを意識します。

ステップ4: 息の量を一定に保って伸ばす

音が出たら、吐く息の量を一定に保ったまま伸ばします。コツは「息を押し出す」のではなく、「お腹まわりのふくらみをゆっくり保ちながら、少しずつ息を手放す」感覚です。後半になって息が減ってきたら、お腹を内側に少しずつ引き込むようにして息の圧力を保つと、声量が落ちにくくなります。

ステップ5: 伸ばし方の終わりをきれいに処理する

ロングトーンは終わり方も大切です。息が尽きて声がつぶれるまで粘るのではなく、音程と声量を保ったまま、自分のタイミングで息を止めて終えるようにします。歌では、最後にそっと声を抜く・語尾にビブラートをかける・フェードアウトさせるなど、曲に合わせて終わり方を選びます。最後に音程が下がる癖がある人は、終わる瞬間まで目標の音を「上から見下ろす」イメージを持つと改善しやすくなります。

ロングトーンの出し方は5つのステップで進める 1 姿勢 2 吸う 3 当てる 4 伸ばす 5 終える 準備 → 発声 → 保持 → 処理 どの段階も「力を抜く」が共通のコツ
姿勢を整えて息を吸い、音をまっすぐ当てて一定の息で伸ばし、最後まで音程を保って終える

きれいに伸ばすこつ・ポイント

  • 母音を変えない: 「あー」が途中で「おー」に変わると音色が崩れます。口の形を最後まで保ちます
  • 口の中の空間を保つ: あくびの始まりのように奥を軽く広げると、響きが安定します
  • 目線を下げない: 息が減ると顔が下を向きがちです。目線を少し上に置くと喉が詰まりにくくなります
  • 録音して聴く: 自分では気づきにくい揺れや音程の下がりは、録音で確認するのがいちばん確実です

このコツを押さえたうえで、次の章の練習メニューで少しずつ長さと難しさを上げていきましょう。

ロングトーンの練習方法とおすすめメニュー

ロングトーンの練習方法は、「秒数」ではなくメトロノームの拍数で管理するのがおすすめです。秒数で測ると、つい息を使い切るまで粘ってしまいますが、拍数で区切ると「決めた長さを、決めた質で伸ばす」練習になります。テンポ(速さ)は♩=60(1拍1秒)に設定すると、拍数がそのまま秒数になりわかりやすくなります。

練習1: 8拍のロングトーン(基礎練習)

まずはテンポ60で8拍伸ばし、4拍休んで息を吸う、を5回くり返します。音は楽に出せる中音域から。8拍がすべて同じ音程・同じ音量で伸ばせたら合格です。ピアノやキーボードで基準の音を鳴らしてから始めると、音程のずれに気づきやすくなります。

練習2: 拍数を少しずつ伸ばす(何拍まで伸ばす?)

8拍が安定したら、12拍、16拍と4拍ずつ長くしていきます。何拍まで伸ばせばよいかに決まりはありませんが、歌の練習としては16拍(テンポ60で約16秒)を安定して伸ばせれば、ほとんどの曲の伸ばしに対応できます。長くする方法として大切なのは、1回の練習で一気に伸ばそうとしないこと。数日かけて4拍ずつ上げるほうが、喉に負担をかけずに記録が伸びます。

ロングトーンの拍数は4拍ずつ段階的に伸ばす テンポ♩=60(1拍=約1秒) 8拍 12拍 16拍 +休み4拍 +休み4拍 +休み4拍 同じ質で伸ばせたら次の段階へ進む
テンポ60で8拍から始め、音程と音量を保てたら12拍、16拍へと4拍ずつ伸ばしていく

練習3: 音階・スケールでのロングトーン

1つの音で安定したら、ドレミファソ(音階)の各音を4〜8拍ずつ伸ばしていくスケールのロングトーンに進みます。音が変わっても同じ響きで伸ばせるかを確かめる練習で、高い音と低い音で声の質が変わってしまう人に効果的です。高音でロングトーンが難しくなる人は、高い音ほど息を強くするのではなく、口の中の空間を広げる意識を持つと楽になります。

練習4: クレッシェンドとデクレッシェンド

慣れてきたら、小さな声から少しずつ大きくする(クレッシェンド)、大きな声から少しずつ小さくする(デクレッシェンド)ロングトーンにチャレンジします。音量を変えても音程が動かないようにするのがポイントで、息と声帯のコントロール力が大きく上がります。歌の表現力を上げたい人に特におすすめの練習です。

ロングトーンの前にやりたい準備運動

いきなりロングトーンを始めるより、唇をぶるぶる震わせるリップロールや、口を閉じて「ん〜」と響かせるハミングで息と声帯をならしてから始めると、声が出しやすくなります。リップロールは息の量が一定でないと続かないため、ロングトーンの準備として最適です。

ロングトーンの鍛え方|筋トレ・腹筋は必要?

「ロングトーンを鍛えるには腹筋や筋トレが必要?」という疑問はよく聞かれます。結論から言うと、腹筋を固く鍛えることよりも、呼吸に使う筋肉をしなやかに使えることのほうが大切です。腹筋を固めすぎると横隔膜の動きが妨げられ、かえって息が続かなくなることもあります。体幹を支える程度の軽い運動は役立ちますが、ロングトーンそのものの練習と、息を一定に吐くロングブレスの練習のほうが、直接的な訓練になります。

練習アプリ・道具の活用

  • チューナー・音程表示アプリ: 伸ばしている音の高さがリアルタイムで表示され、音程のふらつきが目で見てわかります
  • メトロノーム(アプリ): 拍数で練習を管理するための必需品です
  • 録音アプリ: 伸ばし終わりの音程の下がりや、声の揺れを客観的に確認できます
  • 楽譜: 練習メニューを五線譜に書いておくと、音・拍数・休みが一目でわかり、毎日同じ条件で比べられます

アプリは種類が多く、機能や料金も変わりやすいので、アプリストアで「チューナー」「ピッチ」などで検索し、無料のものから試すとよいでしょう。上手くなるコツは、道具に頼りきりにせず、最後は耳で音程を判断できるようにすることです。

ロングトーンは何秒ですごい?平均と秒数の目安

ロングトーンで最も多い疑問が「何秒できればすごいの?」「平均は何秒?」というものです。歌のロングトーンに公式な平均値はありませんが、医療の分野には最長発声持続時間という目安があります。これは息を吸ってから「あー」と楽な声を何秒伸ばせるかを測る検査で、一般に成人男性で約30秒、成人女性で約20秒前後が標準的とされ、10秒に届かない場合は声や呼吸の機能を詳しく調べる目安になると言われています。

ただし、これは「楽な高さ・楽な声量」で測った値です。歌の中の高い音や大きな声でのロングトーンは、同じ人でもずっと短くなります。以下は、歌の練習として伸ばすときの秒数の目安です(テンポや高さによって変わるので、あくまで参考にしてください)。

秒数目安歌での意味
5秒最初の一歩フレーズ終わりの短い伸ばしなら対応できる
10秒基礎ができている多くのJ-POPのサビ終わりの伸ばしをまかなえる
15秒〜20秒歌の練習として十分バラードの長い伸ばしも安定して歌える
25秒〜30秒かなりすごい楽な声の標準値に、歌の声で届いているレベル
40秒〜50秒・1分プロでも話題になる長さライブの見せ場として驚かれるレベル
歌のロングトーンの秒数と上達の目安 5秒 10秒 20秒 30秒 1分 入門 基礎 十分 すごい 話題級 長さより「最後まで同じ声か」が大事
10秒で基礎、20秒で歌には十分、30秒を超えるとすごいと言えるのがおおよその目安

何秒からすごいと言える?

何秒からすごいかは、声の高さと質によって変わります。楽な高さで30秒伸ばすより、高音で20秒を安定して伸ばすほうがずっと難しいこともあります。一般の人が歌の声で20秒を超えてまっすぐ伸ばせたら、周りから「すごい」と言われるレベルと考えてよいでしょう。逆に、ロングトーンの時間が短いからといって歌が下手というわけではありません。実際の曲で必要な伸ばしは10秒前後のことが多く、その範囲を安定させることのほうが歌のうまさ・上手さに直結します。

ロングトーンの長さと肺活量の関係

「ロングトーンが短いのは肺活量が少ないから」と考える人は多いですが、実は肺活量よりも「吐く息の使い方」の影響のほうが大きいのが一般的です。肺活量が多くても、最初の数秒で息をどっと出してしまえば長くは続きません。反対に、肺活量が平均的でも、息を少しずつ効率よく音に変えられる人はロングトーンが長く続きます。肺活量と歌の関係や鍛え方は歌と肺活量の関係で詳しく解説しています。

どのくらいの時間練習すればいい?

ロングトーンの練習時間は、1回5〜10分程度で十分です。どのくらいで効果が出るかには個人差がありますが、毎日続けると、数週間で伸ばせる秒数や安定感の変化を感じる人が多い練習です。記録をつけるときは、秒数だけでなく「最後まで音程が保てたか」もあわせてメモしておくと、上達がわかりやすくなります。

ロングトーンの世界記録・ギネスと有名な長いロングトーン

「ロングトーンの世界1の記録は?」「ギネスの最長記録は何秒?」という疑問に答えるため、ギネス世界記録に認定されている代表的な記録と、日本で有名な長いロングトーンを紹介します。数字は記録の条件によって大きく変わるので、どのような条件での記録かもあわせて見ておきましょう。

声のロングトーンのギネス世界記録

ギネス世界記録の公式サイトによると、声を途切れさせずに伸ばし続けた最長記録(男性)は2分1.07秒で、アメリカのRichard Fink IV(リチャード・フィンク4世)が2019年に達成したものです。これは「曲の中」ではなく、記録挑戦として1つの音を伸ばし続けた最高記録です。

曲の中での記録もあります。スタジオ録音された曲の中で最も長く伸ばされた音は、クロアチアの歌手Siniša Vuco(シニシャ・ヴコ)の曲「Nek sam pijan」の59.5秒(2024年認定)。また、アメリカのヒットチャート1位の曲の中で最も長い伸ばしとして、カナダのバンドSheriffの「When I'm with You」の約19.3秒が記録されています。記録は更新されることがあるので、最新の情報はギネス世界記録の公式サイトで確認してください。

有名なロングトーンの記録を秒数で比べる Sheriff 約19秒 本田美奈子. 約28秒 曲中の最長 59.5秒 声の最長 2分1秒 曲中の伸ばしと記録挑戦では条件が違う
ヒット曲の約19秒、本田美奈子.「つばさ」の約28秒、曲中の最長59.5秒、記録挑戦の2分1秒を比べたもの

楽器の最長記録と循環呼吸

楽器では、サックス奏者のケニーG(Kenny G)が1997年に1つの音を45分47秒吹き続けたことが知られています。これを可能にしたのが循環呼吸という特殊な奏法で、頬にためた空気を楽器に送り出しながら、同時に鼻から息を吸うことで音を途切れさせない技術です。ただし、循環呼吸は管楽器の技術で、声帯を使う歌ではほぼ使えません。歌のロングトーンは、あくまで「1回の息でどれだけ効率よく伸ばせるか」の勝負です。

本田美奈子.「つばさ」のロングトーンは何秒?

日本で「伝説のロングトーン」としてよく名前が挙がるのが、本田美奈子.の「つばさ」です。曲の後半に10小節以上にわたって声を伸ばす部分があり、録音では約28秒、2003年のテレビ番組『題名のない音楽会21』ではさらに長い約30秒のロングトーンを披露したと伝えられています。ただ長いだけでなく、最後まで声の響きが保たれている点が、プロの歌手からも称賛される理由です。

Taka(ONE OK ROCK)・MISIAのロングトーンは何秒?

ONE OK ROCK(ワンオク)のボーカルTakaは、ライブで「Clock Strikes(クロックストライクス)」の終盤のロングトーンを大きく引き伸ばす歌い方で知られ、SNSでは「30秒」「40秒」などさまざまな秒数が語られています。MISIAも紅白歌合戦などでの圧倒的なロングトーンがたびたび話題になります。ただし、こうしたライブでの秒数は公式に計測・発表された記録ではなく、公演ごとに長さも違います。何秒かが気になる場合は、公式のライブ映像で実際に確かめるのが確実です。

ロングトーンが続かない・伸びない原因と対策

「ロングトーンがすぐ続かない」「思ったより伸びない」「息が持たない」という悩みは、ロングトーンの苦手意識の大部分を占めます。息が続かない原因は、ほとんどが息の量が足りないことではなく、息の使い方の問題です。代表的な原因と対策を順番に見ていきましょう。

原因1: 出だしで息を使いすぎている

ロングトーンの最初の1〜2秒で「はーっ」と大量の息を出してしまうと、その後は残りの息でしのぐしかなく、数秒で苦しくなります。声を出す前に息がもれる入り方(息もれの多い発声)も同じです。対策は、出だしを小さめの音量で始め、声が鳴り始める瞬間に息が余計にもれないようにすること。ティッシュを口の前に垂らして声を出し、紙が大きく揺れないかで息の出すぎを確認する練習も有効です。

原因2: 喉が締まっている・喉閉まる状態で押している

喉に力が入り、喉が閉まる状態で音を押し出すと、声帯まわりの筋肉が疲れて長く伸ばせません。声がつぶれたように苦しい、途中で途切れる、という人はこのタイプです。対策は、あくびをするときのように喉の奥を軽く開き、あごと舌の付け根の力を抜くこと。高すぎる音で練習している場合は、まず楽な高さに下げて伸ばす感覚をつかみ直します。

原因3: 吸う息が浅い・姿勢が崩れている

肩を上げて胸だけで吸う呼吸では、吸える量も、吐く息を細く保つ力も足りません。猫背や反り腰も息の通り道を狭くします。対策は、お腹まわりから背中までふくらむように吸う腹式呼吸を身につけ、練習の最初に姿勢を整えることです。

原因4: 後半で体がしぼんでしまう

息が減ってくると、お腹まわりが一気にしぼみ、胸も落ちて、声が支えを失います。ロングトーンの後半だけ声が細くなる・途切れる人はこのパターンです。対策は、吐きながらもお腹まわりの広がりをできるだけ保ち、最後は下腹を少しずつ引き込んで息の圧力を保つこと。ロングブレス(無声で「スー」と長く吐く練習)でこの感覚を先に身につけると、声を乗せたときにも崩れにくくなります。

ロングトーンが続かない原因と対策の対応 原因 対策 出だしで息を使いすぎ 喉が締まって押す 吸う息が浅い 後半で体がしぼむ 小さめの音量で入る 喉を開いて楽な高さへ 腹式呼吸と姿勢 お腹の広がりを保つ
息が続かない4つの原因には、それぞれ対応する対策がある

苦しい・酸欠っぽい・むせるときの注意

ロングトーンの練習で頭がくらくらする、酸欠のように感じる、むせるといった症状が出たら、すぐに練習を止めて普通の呼吸に戻してください。息を限界まで絞り出す練習を続けると、過呼吸気味になったり、喉を傷めたりすることがあります。ロングトーンは「限界まで我慢する練習」ではありません。余力を残して終える長さで練習し、症状が続く場合は医療機関に相談しましょう。

急にできなくなった・出ないときは

以前はできていたロングトーンが急にできなくなった、声が出ない、という場合は、喉の疲れや風邪、睡眠不足、乾燥などで声帯の状態が落ちていることが考えられます。無理に練習を続けず、まずは喉を休ませ、水分をとって加湿します。数日休んでも回復しない、声がれが長引くといった場合は、耳鼻咽喉科で診てもらうのが安心です。ロングトーンが難しい・下手だと感じる人も、ほとんどは練習の順番と息の使い方で改善できるので、焦らず基本のステップに戻りましょう。

ロングトーンが震える・揺れる・音程がずれるときの直し方

長さは伸ばせても、「声が震える」「音が揺れる」「途中で音程がずれる」と悩む人も多くいます。ロングトーンが安定しない・不安定になる原因は、息の圧力と声帯の閉じ方のバランスが途中で崩れることです。症状ごとに原因と直し方を整理します。

声が震える・揺れる・ブレる

意図していないのに声が細かく震える、音が波打つように揺れる、ブレる場合は、次のような原因が考えられます。

  • 息の量が一定でない: お腹まわりに力を入れたり抜いたりをくり返していると、息の圧力が波打ち、声が揺れます
  • 緊張している: 人前やカラオケで緊張すると、体がこわばって声も震えやすくなります
  • 喉やあごに力が入っている: 喉まわりの筋肉が細かくふるえ、そのまま声に伝わります

直し方は、まず楽な音量・楽な高さに下げて、息を「細く長く一定に」出す感覚を取り戻すことです。ロングブレスで「スー」という息の音が揺れずに出せるかを確認し、それができたら同じ息に声を乗せます。緊張による震えは、歌い始める前にゆっくり長く息を吐いて体をゆるめると落ち着きやすくなります。

音程下がる・音程上がるのはなぜ?(ずれる原因)

ロングトーンでいちばん多いのが、伸ばしているうちに音程が下がるパターンです。息が減るにつれて声を支える力が弱まり、音が少しずつフラット(低め)になっていきます。反対に、息を押しすぎたり力んだりすると、音程が上がる・半音上がるように聞こえることもあります。

ロングトーンで音程がずれる2つのパターン 目標の音程 下がる=支え不足 上がる=押しすぎ
後半で息の支えが弱まると音程が下がり、息を押しすぎたり力んだりすると上がる

音程のずれを直すには、チューナーアプリで伸ばしている間のピッチを目で確かめながら練習するのが効果的です。下がる人は、後半にお腹を少しずつ引き込んで息の圧力を保つこと、上がる人は、音量を少し落として力みを抜くことを意識します。音程を正確に取る基本は歌の音程の取り方もあわせて参考にしてください。

声が裏返る・かすれる・ガラガラする

高めの音で伸ばしていると、急に声が裏返る、かすれる、ガラガラとノイズが混じる、ということがあります。裏返るのは、地声と裏声の切り替わるあたり(換声点)で声帯の状態が不安定になっているサインです。かすれやガラガラは、声帯がうまく閉じずに息がもれている、または声帯が疲れている状態で起こりやすくなります。

対策としては、まず換声点より低い楽な音でロングトーンを安定させ、少しずつ音を上げていくこと。かすれやガラガラが続く場合は練習量が多すぎる可能性があるので、声を休ませて水分をとりましょう。高い音を地声と裏声の中間の声で伸ばしたい人は、ミックスボイスの出し方の練習も役立ちます。

最後の終わり方が崩れる

伸ばし方の最後、終わり際だけ声が揺れる・音程が下がる・息が混ざる人は、「終わる準備」を早く始めすぎていることが多いです。息がなくなりそうになると体が先にあきらめてしまうので、終わる瞬間まで目標の音を保つ意識を持ち、余力のあるうちに自分から声を止めるようにします。

まっすぐすぎて棒読みに聞こえるときは

安定させる練習を重ねてまっすぐ伸ばせるようになると、今度は「棒読みのように平坦」と感じることがあります。練習で音を真っ直ぐにする方法を身につけることは基本ですが、曲の中では、伸ばしの最後に少しだけビブラートをかけたり、音量に強弱をつけたりすることで表情が生まれます。まっすぐ伸ばせる安定性があってこそ、あとから自由に表情をつけられると考えましょう。

ロングトーンとビブラートの違い・使い分け

ロングトーンとセットで語られることが多いのがビブラートです。ビブラートとは、伸ばしている音の高さを規則的な波のように細かく上下させるテクニックのこと。ロングトーンは「音をまっすぐ保つ」、ビブラートは「保った音に一定の揺れをつける」という違いがあります。どちらも音を伸ばす場面で使うため、「ビブラートをかけたロングトーン」と「ビブラートなしのロングトーン」を使い分けるのが歌の表現の基本です。

ビブラートはロングトーンが土台

きれいなビブラートは、まっすぐなロングトーンができて初めて安定します。息が不安定なままビブラートをかけようとすると、揺れの幅や速さがばらばらになり、「震え」に聞こえてしまいます。つまり、意図してつける規則的な揺れがビブラート、意図せず起こる不規則な揺れが震えです。練習の順番としては、まずビブラートなしで音を安定して伸ばせるようにし、そのうえでビブラートを加えていきます。

ロングトーンの最後にビブラートをかける使い分け

曲の中では、伸ばしの最初はまっすぐ、後半から最後にかけてビブラートをかけるという使い方がよく見られます。最初からずっとビブラートをかけるより、まっすぐな部分があることでビブラートが際立ち、聴き手に余韻が伝わります。

伸ばしの前半はまっすぐ、後半にビブラート ロングトーン ビブラート 切り替える位置は曲に合わせて選ぶ
前半はまっすぐなロングトーンで伸ばし、後半に規則的な揺れのビブラートを加えるのが定番の使い分け

カラオケ採点でも、この「まっすぐ伸ばす部分」と「ビブラートをかける部分」がそれぞれ評価されます(採点については後の章で解説します)。ビブラートがかかると採点でロングトーンの評価が低い、と感じる人は、伸ばしの前半にまっすぐな時間をしっかり取るとバランスがよくなります。

ビブラートの出し方・やり方のコツ

ビブラートの出し方は、大きく分けて「息の圧力を波打たせる」方法と「喉まわりで音程を揺らす」方法があります。初めての人は、ロングトーンの途中で「あー・あー・あー」と音量を軽く波打たせるところから始め、慣れてきたら音程の上下に変えていくのがやり方としてわかりやすいでしょう。コツは、揺れの速さと幅を一定にすることです。ビブラートの種類や詳しい練習方法はビブラートのやり方で解説しています。

しゃくり・フェイクとの違い

ロングトーンと同じ「伸ばしの場面」で使われるテクニックには、ほかにも次のようなものがあります。

テクニック音の動きロングトーンとの違い
ロングトーン同じ高さで保つ基準となる「まっすぐな伸ばし」
ビブラート規則的に上下に揺らす伸ばしに揺れを加える
しゃくり下から目標の音へずり上げる伸ばしの「入り口」の動き
フェイクメロディを崩して音を動かす伸ばしの代わりに音を細かく動かす

しゃくりは音の入り方、フェイクはメロディのアレンジで、どちらも「まっすぐ伸ばす」ロングトーンとは違いがはっきりしています。しゃくりから入ってロングトーンで伸ばし、最後にビブラートで締める、というように組み合わせて使われることも多いテクニックです。しゃくりについてはしゃくりの出し方で詳しく解説しています。

高音・低音のロングトーンとほかの発声テクニック

同じロングトーンでも、音域によって難しさは大きく変わります。特に男性の高音のロングトーンは、ハイトーンが売りのロックやアニソン、ボカロの高音曲でよく出てくる見せ場で、「hiAのロングトーンが出せない」「mid2Gまでは伸ばせるのにその上がきつい」という悩みが多く検索されています。

高音ロングトーンの目安(mid2G・hiA・hiA#・hiC)

カラオケで使われる音名で、男性の地声の高音の目安を並べると次のようになります(mid2G=G4、hiA=A4、hiA#=A#4、hiC=C5)。

男性の高音ロングトーンの難しさの目安 mid2G hiA hiA# hiC 低い ← 男性の地声の高音 → 高い 一般的な上限 高音の壁 ハイトーン曲の見せ場 高くなるほど伸ばせる秒数は短くなる
男性はmid2G前後から地声が苦しくなり、hiA以上を伸ばす曲はハイトーン曲の見せ場になる

高い音ほど声帯は薄く引き伸ばされ、少ない息で効率よく鳴らす必要があるため、低い音と同じ感覚で息を押すとすぐに苦しくなります。高音のロングトーンの出し方のコツは、息の量を増やすのではなく、口の中や喉の空間を広げて響きで伸ばすことです。地声のまま無理に張り上げるより、地声と裏声を混ぜたミックスボイスや、頭に響かせるヘッドボイスで伸ばすほうが長く安定します。ヘッドボイスの出し方はヘッドボイスの出し方で解説しています。

伸びやかなロングトーンのお手本は、ビブラート・ロングトーンのお手本になる名盤で聴きどころと一緒に紹介しています。

低音のロングトーンのコツ

低音のロングトーンは、高音とは逆に声が響きにくく、息もれが多くなりやすいのが難しいところです。低い音ほど声量が落ちやすいので、胸に響かせる意識を持ち、あごを引きすぎないようにします。低音で音程が下がって聞こえる人は、口の中を暗くしすぎず、明るめの母音で伸ばすと音程が安定しやすくなります。

シャウト・エッジボイス・デスボイスとの違い

ロックやメタルの曲では、シャウトやデスボイス、エッジボイスといった発声テクニックと組み合わせてロングトーンが使われることもあります。違いを整理すると次のとおりです。

  • シャウト: 叫ぶように強く声を出す表現。長く伸ばすと喉への負担が大きく、ロングトーンの「まっすぐ保つ」とは目的が違います
  • デスボイス: 声帯以外の部分も振動させる、うなるような歪んだ声。専門的な技術が必要で、自己流で長く伸ばすのは避けたほうが安全です
  • エッジボイス: 声帯をゆるく閉じて「あ゛あ゛」とプツプツ鳴らす声。ロングトーンの出だしの練習や、声帯を閉じる感覚づくりに使われます(エッジボイスの出し方)

いずれも「きれいに伸ばす」ロングトーンとは違う方向の表現です。まずはロングトーンで安定した発声を身につけてから挑戦するほうが、声を傷めずに習得しやすくなります。

声楽・合唱のロングトーン

クラシックの声楽や合唱では、ロングトーンは日々の発声練習の中心です。合唱では、自分だけでなく周りの声と音程・音量・母音をそろえて伸ばすことが求められ、ひとりのときよりも「まっすぐ保つ」力が試されます。声楽では、響きの豊かな歌声と声量を保ったまま伸ばすことが重視され、ロングトーンの質がそのまま演奏の質につながります。

カラオケ採点とロングトーン|DAM・JOYSOUNDでの評価

カラオケでは、ロングトーンは採点の点数に直接関わる要素です。サビの最後の伸ばしがまっすぐ安定しているかどうかで評価が変わるため、「カラオケの点数が上がらない」「ロングトーンの評価だけ低い」という人は、ロングトーンの質を見直すと点数アップにつながります。

ロングトーンとはカラオケ採点で何を見られている?

カラオケ採点でのロングトーンは、長く伸ばす音で、音程をぶらさずに安定して声を保てているかが評価されます。秒数の長さそのものではなく、「伸ばしている間に音程が正しく、揺れずにまっすぐか」が見られていると考えてください。そのため、長く伸ばしても途中で音程が下がったり、不規則に揺れたりすると評価は伸びません。

DAMの精密採点でのロングトーン

第一興商のカラオケ「DAM」では、精密採点DX-Gや、LIVE DAM Ai(ライブダムAi)に搭載された精密採点Aiで、ロングトーンが評価の対象になっています。分析チャートには「ビブラート&ロングトーン」という項目があり、ビブラートの上手さと、ロングトーンで音程を変えずにまっすぐ伸ばせているかがまとめて評価されます。DAMの公式サイトでも、ロングトーンは「お腹で声を支えて、音程がふらつかないように伸ばす」ことがポイントとして紹介されています。

JOYSOUNDの分析採点でのロングトーン

エクシングのカラオケ「JOYSOUND(ジョイサウンド)」では、分析採点AI+/AIや分析採点マスターなどの分析採点シリーズで、「ロングトーン」が独立した評価項目になっています。音程・安定感・抑揚・テクニックなどと並んで、「正しい音程で、安定して声を伸ばせているか」が採点されます。ビブラート・しゃくり・こぶしはテクニックの項目で評価されるので、ロングトーンの項目では「まっすぐ伸ばせているか」を意識しましょう。

DAMとJOYSOUNDのロングトーン評価の違い DAM 精密採点 JOYSOUND 分析採点 ビブラート& ロングトーン ビブラートとまとめて評価 ロングトーン 独立した項目で評価 どちらも「まっすぐ安定して伸ばす」ことが評価の中心
DAMはビブラートとまとめた項目、JOYSOUNDは独立した項目でロングトーンを評価する

採点機能の項目や表示は機種やバージョンによって変わることがあるので、詳しい仕様はDAM・JOYSOUNDそれぞれの公式サイトで確認してください。

カラオケでロングトーンの点数低いときのコツ

カラオケでロングトーンの評価が低い・点数が上がらないときは、次のポイントを見直してみましょう。点数を上げる方法として効果が出やすい順に並べています。

  1. キーを下げる: 高すぎるキーでは伸ばしの音程がぶれやすくなります。原曲キーにこだわらず、ロングトーンが楽に伸ばせる高さに調整します
  2. 伸ばしの前半はまっすぐに: 最初からビブラートをかけると、ロングトーンの評価がつきにくくなることがあります。前半をまっすぐ、後半にビブラート、を意識します
  3. 伸ばす前の息継ぎを確保する: 伸ばしの直前で息が足りないと、後半で音程が下がります。フレーズの途中で息を吸う場所を決めておきます
  4. 音程バーを見て確認する: 採点画面の音程バーを見て、伸ばしの途中でずれる・ブレる箇所を確認し、その部分だけ練習します

カラオケでロングトーンが伸びない・出ない、できないという人は、いきなり曲で練習するより、この記事の練習メニューで1音のロングトーンを安定させてから曲に戻るほうが近道です。高得点・満点やパーフェクトを目指すなら、ロングトーンだけでなく音程・リズム・抑揚のバランスも大切です。カラオケ全体の上達法はカラオケが上手くなる方法で解説しています。

ロングトーンが気持ちいい曲・多い曲の選び方と練習曲

ロングトーンの練習に慣れてきたら、実際の曲で伸ばしを練習してみましょう。ここでは、ロングトーンが気持ちいい曲・ロングトーンが多い曲の探し方と、検索でよく名前が挙がるアーティストを、男性・女性、ジャンル別に整理します。ランキング形式ではなく、自分の声と練習の目的に合う曲を選ぶための視点として活用してください。

練習曲の選び方|歌いやすい曲から始める

  • 最高音が自分の音域内: 伸ばしの音が高すぎると、ロングトーンの練習ではなく高音の練習になってしまいます。まずは楽に出せる高さで伸ばしがある、出しやすい曲・歌いやすい曲から選びます
  • テンポがゆったりしている: バラードやミディアムテンポの曲は伸ばしが長く、ロングトーンの練習曲に向いています。逆に、テンポの速い曲やラップ中心の曲は、ロングトーンがない曲・ほとんどない曲も多いので練習には向きません
  • 原曲の音源で伸ばしの長さを確認する: 音源を聴いて、伸ばしが何拍あるか、ビブラートがかかっているかを確認してから練習すると、狙いが明確になります
  • サビで転調する曲は後回し: 最後のサビで転調してキーが上がる曲は、伸ばしがさらに高くなるため、慣れてから挑戦します

男性曲・女性曲を問わず、最高音が自分の出せる音より少し低い曲を選ぶと、音の高さに気を取られず伸ばす音そのものに集中できます。

男性ボーカルでロングトーンが気持ちいい曲の傾向

男性ボーカルでロングトーンが気持ちいい曲としてよく名前が挙がるのは、サビで高音を伸びやかに伸ばす最近の曲(J-POP・邦楽ロック)です。検索でも「ロングトーンが気持ちいい曲 ミセス」のように、アーティスト名と一緒に調べられることが多くなっています。

アーティストロングトーンの聴きどころ
Mrs. GREEN APPLE(ミセス)大森元貴のハイトーンを伸ばすサビ。高音ロングトーンの目標に選ばれやすい
Official髭男dism(髭男)藤原聡の高音を多用するメロディ。伸ばしと細かい動きの切り替えが練習になる
ONE OK ROCK(ワンオク)Takaのロックな高音と、ライブで引き伸ばされる伸ばしが名物
Novelbright(ノーベルブライト)竹中雄大のハイトーンボイス。高音を張って伸ばす歌い方の参考になる
Mr.Children(ミスチル)・back number(バックナンバー)中音域中心で、感情をこめてフレーズ終わりを伸ばす曲が多く、練習曲として歌いやすい
優里・Vaundy(バウンディ)・米津玄師・Nissy最近の曲で人気が高く、サビの伸ばしをまっすぐ保つ練習になる曲がある

女性ボーカルでロングトーンが気持ちいい曲の傾向

女性の曲では、歌唱力の高さで知られる女性歌手のバラードが、ロングトーンが気持ちいい曲の定番です。本田美奈子.の「つばさ」は、曲の後半の長いロングトーンで今も「すごい曲」として語られる名曲です。

アーティスト・ジャンルロングトーンの聴きどころ
MISIA広い音域と声量で、バラードの伸ばしが圧倒的。ロングトーンの目標として名前が挙がりやすい
DREAMS COME TRUE(ドリカム)吉田美和の伸びやかな高音。明るい曲でも伸ばしが多く、楽しい曲で練習できる
YOASOBI・ヨルシカテンポが速い曲も多いが、サビ終わりのまっすぐな伸ばしがきれいで、ビブラートなしの練習になる
本田美奈子.「つばさ」(翼と表記されることもあります)の約28秒のロングトーンは有名曲の中でも別格

ジャンル別|ボカロ・アニソン・洋楽・演歌など

  • ボカロ曲: 初音ミクなどの歌声合成ソフトは息継ぎがいらないため、人間には難しい長い伸ばしや高音が書かれていることがあります。「千本桜」のようなテンポの速いボカロ曲は伸ばしが短く、ロングトーンよりリズムと滑舌の練習向きです
  • アニソン・声優の曲: 熱い曲調でサビの最後を長く伸ばす曲が多く、JAM Projectのように伸ばしを見せ場にするアーティストもいます
  • 洋楽: 女性の洋楽ではホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」が、力強い伸ばしの代表例として有名です。男性ではLinkin Park(リンキンパーク)のように、叫ぶような高音を伸ばすロックもあります
  • 演歌・昭和歌謡: こぶしとビブラートを組み合わせた長い伸ばしが特徴で、ロングトーンの最後の処理の練習になります
  • ジャズ: まっすぐな伸ばしの最後にビブラートをかける歌い方が多く、使い分けの参考になります

カラオケでロングトーンが多い曲を練習するときは、長い曲を1曲通すより、伸ばしのある部分だけを何度もくり返すほうが効率的です。カラオケ曲の多くはサビ終わりに伸ばしがあるので、その部分を区切って練習しましょう。上達したら、J-POP(jpop)・邦楽・洋楽とジャンルを広げていきましょう。

ロングトーンが上手い歌手・すごい人

ロングトーンが上手い人の歌を聴くことは、いちばんの教材になります。ここでは、「ロングトーンが上手い歌手」「すごい人」として検索でよく名前が挙がる歌手を、ジャンル別に紹介します。ライブでのロングトーンの長さや出来は公演ごとに違い、公式に計測された記録ではないものがほとんどです。実際の伸ばしは、公式の音源やライブ映像で確かめてください。

ロックバンド・J-POPの歌手

歌手どんな歌手か
Taka(ONE OK ROCK)ワンオクのボーカル。「Clock Strikes」のライブでのロングトーンが有名で、ワンオクtakaの曲名とともに何秒伸ばしたかがよく話題になる
稲葉浩志(B'z)パワフルなハイトーンで知られるロックボーカリスト。ライブでの伸ばしが何秒続くかも注目される
西川貴教(T.M.Revolution)力強い高音と声量で知られ、伸ばしの迫力に定評がある
根本要(スターダスト☆レビュー)長年ライブを重ねてきたボーカリスト。安定した伸ばしが検索でも名前の挙がる理由になっている
山下達郎多重コーラスでも知られる歌手。まっすぐで芯のある伸ばしの参考になる
吉田美和(DREAMS COME TRUE)女性歌手の代表格。高音を伸びやかに保つロングトーンが魅力
MISIA・本田美奈子.バラードでの長いロングトーンで知られる女性歌手(前の章を参照)

アニソン・ミュージカルの歌手

アニソンでは、JAM Projectの遠藤正明のように、熱いハイトーンを長く伸ばす歌い方で知られる歌手がいます。ミュージカルの世界では、山口祐一郎のように大きな劇場の隅々まで届く声量と、響きを保ったロングトーンで評価される俳優もいます。ミュージカルは生の歌で物語を伝えるため、ロングトーンの質が役の感情表現に直結します。

アイドル・VTuberのロングトーン

アイドルやVTuber(バーチャルYouTuber)の歌でも、ロングトーンが話題になることがあります。検索では次のような名前がよく一緒に調べられています。

名前所属
渡辺翔太(しょっぴー)・向井康二Snow Man(snowman)
増田貴久(まっすー)NEWS
松村北斗SixTONES
天音かなたホロライブ
エリザベス・ローズ・ブラッドフレイムホロライブEnglish

アイドルの曲はグループで歌割りが分かれるため、ソロパートの伸ばしやライブでのアレンジで個人の歌唱力が注目されやすくなります。渡辺翔太の曲やしょっぴーの曲のソロパートを探す人がいるのもそのためです。ホロライブのかなた(天音かなた)やエリザベスをはじめ、にじさんじなどのVTuberも歌配信や歌ってみた動画で歌唱力を発揮しており、ロングトーンがファンの間で話題になることがあります。どのパートでどれくらい伸ばしているかは、公式の音源や配信のアーカイブで確認するのが確実です。

上手い歌手のロングトーンから学べること

ロングトーンが上手い人に共通しているのは、長さよりも「最後まで同じ声で伸ばしている」ことです。上手い歌手の伸ばしを聴くときは、次の点に注目すると練習のヒントが得られます。

  • 伸ばしの前にどこで息を吸っているか
  • 伸ばしの前半と後半で、音量や響きが変わっていないか
  • ビブラートをどのタイミングから入れているか
  • 終わり方(声を抜く・切る・フェードアウト)をどう選んでいるか

好きな歌手のロングトーンをまねして録音し、原曲と聴き比べるのも効果的な練習です。

吹奏楽のロングトーンとは|目的・やり方・練習メニュー

ロングトーンは、吹奏楽やオーケストラの管楽器でも欠かせない基礎練習です。吹奏楽のロングトーンとは、1つの音を決めた拍数だけ、同じ音程・同じ音量・同じ音色で吹き続ける練習のことで、多くの吹奏楽部で毎日の合奏前に行われています。歌のロングトーンと考え方はほとんど同じで、息のコントロールと音の安定を身につけるのが目的です。

吹奏楽でロングトーンをやる意味・目的

  • 音色を安定させる: 息の量とスピードを一定に保ち、楽器がいちばんよく鳴る吹き方を体に覚えさせます
  • 音程(チューニング)を整える: チューナーを見ながら伸ばすことで、音程の癖(高め・低め)に気づけます
  • アンブシュア(口の形)を鍛える: 口まわりの筋肉を持続的に使い、長い曲でも音が崩れない持久力をつけます
  • 合奏で音をそろえる: 全員で同じ音を伸ばし、音程と音色を合わせる練習にもなります

吹奏楽のロングトーンのやり方

基本のやり方は、メトロノームをテンポ60に合わせ、1つの音を8拍吹いて4拍休む、をくり返す方法です。音は楽器ごとに出しやすい中音域から始め、半音ずつ上下に広げていきます。吹き始めは舌で息を区切るタンギングで音をはっきり出し、吹き終わりは音程を下げずに息を止めます。

吹奏楽のロングトーンは8拍吹いて4拍休む 8拍 吹く 4拍 休む 次 テンポ60・中音域から 休む4拍で息を吸い、半音ずつ音を変えていく
吹奏楽の基本のロングトーンは、8拍吹いて4拍休む流れを半音ずつ音を変えてくり返す

練習メニューと楽譜の例

吹奏楽のロングトーンの練習メニューは、部活や教本によってさまざまです。代表的なものを挙げると次のとおりです。

  1. 基本のロングトーン: B♭(吹奏楽の基準音)から半音階で8拍ずつ
  2. 音量変化のロングトーン: pp(とても小さく)から ff(とても大きく)へのクレッシェンド、またはその逆
  3. 跳躍のロングトーン: オクターブや5度離れた音を交互に伸ばす
  4. ハーモニーのロングトーン: パートごとに和音を作って伸ばし、響きを合わせる

市販の教本にはロングトーン用の楽譜が載っているものが多く、トランペットでは、アメリカの奏者・指導者ヴィンセント・チコヴィッツ(Vincent Cichowicz)のロングトーン・スタディやフロー・スタディが、息の流れを重視する練習として知られています。楽器ごとの楽譜は、教本や先生の指示に合わせて選びましょう(フルート楽譜・クラリネット用など、楽器別のロングトーン教本も多数あります)。部活によっては、決められた拍数を安定して吹けるかを確認する「ロングトーンのテスト」を行うところもあります。

マウスピースだけでのロングトーン

金管楽器では、楽器を付けずにマウスピースだけで音を伸ばす練習もよく行われます。唇の振動を直接感じられるため、息の量を一定に保つ感覚や、音程を唇で支える感覚をつかむのに役立ちます。ただし、長時間続けると唇が疲れるので、短時間にとどめるのが一般的です。

楽器別ロングトーンのコツ|フルート・サックス・金管・弦楽器

楽器のロングトーンは、息の使い方の基本は共通しつつ、楽器ごとに「続かない」「揺れる」「震える」原因が少しずつ違います。ここでは、楽器ごとのやり方とコツ、つまずきやすいポイントを整理します。

木管楽器(フルート・クラリネット・サックス)

楽器ロングトーンのコツよくある悩み
フルート・ピッコロ息の一部が楽器の外に逃げる構造のため、ほかの楽器より息を多く使う。唇のすき間を小さく保ち、息のスピードを一定にする息が続かない・音が震える。フルートの初心者は何秒も持たないのが普通なので、4拍から始める
クラリネット・バスクラリードを噛みすぎず、口の端をしっかり閉じる。息をまっすぐ楽器に入れる音が揺れる・続かない。噛みすぎで音程が上がることも
サックス(ソプラノサックス・アルト・テナー・バリトン)下あごでリードを支えすぎず、喉を開いて太い息を送る。バリトンサックス(バリサク)は特に息の量が必要テナーサックスやバリサクは続かない、アルトサックスは音程が上ずりやすい

フルートのロングトーンの練習では、タンギングなしで息だけで音を出す練習や、鏡で唇の形を確認する練習もおすすめです。クラリネットは、メニューとして低音域(シャリュモー音域)からロングトーンを始めると、息の通り道が安定しやすくなります。

金管楽器(トランペット・トロンボーン・ホルン・ユーフォニアム・チューバ)

楽器ロングトーンのコツよくある悩み
トランペット唇を押し付けすぎず、息のスピードで音を支える。高音ほど息を細く速く続かない・揺れる。唇の疲れで後半が崩れやすい
トロンボーンスライドを動かさずに息を一定に。低音は息の量を十分に音が揺れる・続かない。息が浅いと音が細くなる
ホルン音と音の間隔が狭く音程が外れやすい。耳で音程を確かめながら伸ばす音が揺れる・当たらない
ユーフォニアム・チューバ大量の息を使うため、吸う時間を十分にとる。息の圧力を保つ息が足りず後半に音がしぼむ

トランペットやトロンボーンの練習では、ロングトーンを1日の最初に行い、唇と息の状態を確認してから曲の練習に入る人が多くいます。揺れる場合は、楽器を持つ手や腕に力が入っていないかも確認しましょう。トランペットやトロンボーンの楽譜付きのロングトーン教本も多く出版されています。

そのほかの管楽器(リコーダー・鍵盤ハーモニカ・篠笛・龍笛・ケーナ)

リコーダーや鍵盤ハーモニカは、息を強く入れすぎると音程が上がるため、弱めの一定の息で伸ばすのがコツです。和楽器の篠笛や龍笛、南米の縦笛ケーナは、フルートと同じく息の一部が外に逃げる構造で、唇の形と息の角度を安定させることがロングトーンの鍵になります。

弦楽器(バイオリン・ギター)のロングトーン

弦楽器にも、息ではなく弓や弦で音を長く保つロングトーンの練習があります。バイオリン(ヴァイオリン)では、弓を一定の速さ・圧力・位置で動かして長い音を出す「ロングボウ」がこれにあたり、音色を安定させる基礎練習です。ギターでは、弦をはじいた音は減衰していくため、エレキギターではコンプレッサーなどのギターエフェクターで音を長く伸ばす(サステインを稼ぐ)ことがあります。ゲイリー・ムーア(ゲイリームーア)のように、エレキギターで長く伸びる泣きのロングトーンを聴かせるギタリストもいます。

よくある質問

ロングトーンは毎日何分くらい練習すればいいですか?
1回5〜10分程度で十分です。長時間続けるより、毎日少しずつ続けるほうが効果を感じやすい練習です。喉に痛みや違和感があるときは休み、症状が続く場合は耳鼻咽喉科に相談してください。
ロングトーンは何秒できれば上手いと言えますか?
歌の声で10秒安定して伸ばせれば基礎はできており、20秒を超えてまっすぐ伸ばせれば十分に上手いと言えます。ただし、秒数より「最後まで同じ音程・音量・音色で伸ばせているか」のほうが大切です。
肺活量を増やせばロングトーンは長くなりますか?
肺活量も関係しますが、それ以上に息の使い方の影響が大きいのが一般的です。出だしで息を使いすぎない、喉を締めない、後半で体がしぼまない、という3点を意識すると、肺活量が同じでも伸ばせる時間は変わります。
ロングトーンにビブラートはかけたほうがいいですか?
練習ではまずビブラートなしでまっすぐ伸ばせるようにし、曲の中では伸ばしの後半にビブラートをかける使い分けがおすすめです。カラオケ採点でも、まっすぐな部分とビブラートの部分の両方が評価されます。
ロングトーンが震えるのは緊張のせいですか?
緊張も原因のひとつですが、息の量が一定でないこと、喉やあごに力が入っていることも多い原因です。楽な高さに下げて、ロングブレスで息を一定に吐く感覚を取り戻してから声を乗せると改善しやすくなります。

まとめ

ロングトーンとは、ひとつの音を同じ音程・音量・音色のまま長く伸ばす歌い方であり、歌の土台を整える基礎練習です。この記事のポイントを振り返ります。

  • ロングトーンは長さより「最後まで同じ声で伸ばせているか」が大切
  • やり方は「姿勢 → 吸う → まっすぐ当てる → 一定の息で伸ばす → きれいに終える」の5ステップ
  • 練習はメトロノームの拍数で管理し、8拍から4拍ずつ伸ばしていく
  • 歌の声で10秒で基礎、20秒を超えるとすごいと言えるのが目安
  • 続かない・震える原因の多くは、肺活量ではなく息の使い方と力み
  • カラオケ採点でもDAM・JOYSOUNDともにロングトーンが評価される

ロングトーンは一人でも練習できますが、自分の声の癖や、息が続かない原因を正確に見つけるのは意外と難しいものです。録音してもどこが崩れているのかわからない、自己流で喉を痛めてしまいそう、という人は、ボイストレーナーに一度見てもらうのが上達の近道です。体験レッスンを受けられる教室も多いので、お近くのボイトレ教室を探して、プロのアドバイスを受けながらロングトーンを磨いてみてください。