しゃくりとは|歌での意味をわかりやすく
歌のしゃくりとは、目標の音より少し低い音から歌い始め、滑らかにずり上げて本来の音程に届かせる歌い方です。楽譜どおりの音にいきなり当てるのではなく、下からすくい上げるように音に入るので、歌い出しに柔らかさや色っぽさ、感情の高ぶりが加わります。カラオケの採点機能が「しゃくり」の回数を表示するようになったことで、ボーカルの世界の専門用語だったこの言葉が一気に身近になりました。
「しゃくりって何ですか?」「カラオケのしゃくりってなに?」と聞かれたときに、しゃくりとは何か、簡単に言えば「音の入り口にだけ付ける、下からのずり上げ」です。音を伸ばしている途中で揺らすのでも、音の終わりを下げるのでもなく、音の始まりの一瞬に起きる動きだという点を押さえておくと、ほかのテクニックと混同しにくくなります。
しゃくりの定義|「音の入り口」で起きる音程の動き
しゃくりを定義すると、次の3つの条件がそろった歌い方になります。
- 入り方: 目標の音より低い音程から声を出し始める
- 動き方: 途切れさせずに、滑らかに音程を上げていく
- 着地: 最終的に本来の音程にきちんと届き、そこで安定する
この3つのうち、特に大事なのが3つ目の「着地」です。下から入っても目標の音まで上がりきらなければ、それはしゃくりではなく音程がずれた状態(フラット)として聞こえます。しゃくりは音程が一時的にずれる現象を意図して表現に使う技術であり、最後に正しい音程へ届いているからこそ、歌唱テクニックとして成立します。
音程がどれくらい下から入るかは、歌い手や曲によってさまざまです。半音ほどのわずかなずり上げもあれば、1音以上の大きなずり上げで情感を強く出すこともあります。一般的には、わずかなしゃくりほど自然に聞こえ、大きなしゃくりほど個性的・演歌的な印象になります。
しゃくりの語源・由来と漢字
しゃくりの語源は、動詞の「しゃくる」です。しゃくるには「すくい上げる」「下から上へ持ち上げるように動かす」という意味があり、「あごをしゃくる」という言い回しでもおなじみです。音を下からすくい上げる歌い方が、この動きに似ていることから「しゃくり」と呼ばれるようになったと考えられています。
漢字で書くと、動詞のしゃくるには「抉る」「决る」などの字が当てられますが、歌の技法としてのしゃくりはひらがなで書くのが一般的です。カラオケの採点画面や歌唱の解説でも、ほぼすべてひらがな表記になっています。カタカナの「シャクリ」は、釣りで竿をあおる動作など別の分野でよく使われる表記です(歌以外の意味は後半の章でまとめています)。
しゃくりの英語・別名・言い換え
しゃくりにあたる英語はscoop(スクープ)、動詞として「scooping」とも言います。英語圏のボイストレーニングでも、音を下からすくい上げて入る歌い方は scoop と呼ばれ、日本語のしゃくりとほぼ同じ意味で使われています。日本語の「shakuri」がそのまま英語で通じるわけではないので、海外の解説を探すときは scoop で調べると見つかりやすいでしょう。「japanese meaning」のように日本語の意味を知りたい人向けに英語(English)で言えば「Shakuri is a vocal scoop in which the singer slides up into a note from below.」となります。
日本語の別の言い方としては、次のような表現があります。
- ずり上げ
- 音程をずらしながら上げる動きをそのまま言い表した言い換えです。ボイストレーニングの現場でよく使われます。
- すくい上げ
- 語源の「しゃくる」に近い言い方で、下からすくうイメージを強調した別名です。
- ベンド・スライド
- 楽器の奏法から借りた言い方です。ギターのチョーキングやスライドのように、音程を連続的に動かす動作を指します。
なお、しゃくりに「正式名称」と呼べる別の学術用語があるわけではありません。楽譜の記号としても決まった書き方はなく、ジャズやポップスの譜面では音符の前に下から上がる短い線を書いてスクープを示すことがある程度です。日本の歌唱の世界では「しゃくり」という呼び方そのものが定着した名前だと考えてよいでしょう。
しゃくりは歌唱テクニックのひとつ
しゃくりは、こぶし・ビブラート・フォールなどと並ぶ歌唱テクニック(表現技法)のひとつです。ほかのテクニックとの位置づけは歌唱テクニックの一覧で整理しています。演歌や歌謡曲の歌い回しのイメージが強いものの、J-POPのバラード、R&B、ロックまで、ジャンルを問わず多くのボーカルが使っています。
カラオケ採点でのしゃくり|加点・減点・回数の見方
しゃくりとはカラオケでどういう意味を持つのかというと、採点機能が「テクニック」として検出し、表現力の加点に使う項目のひとつです。カラオケのしゃくりの意味を知りたい人の多くは、採点画面に表示される回数を見て気になったはずなので、ここでは主要な採点機能での扱いと、回数の読み方を整理します。「からおけ」とひらがなで検索する人も含め、カラオケDAMやJOYSOUNDで表示される「しゃくり」は、すべてこの章で説明するカラオケ加点の対象のことです。
DAMの精密採点でのしゃくり
DAMの公式サイトでは、しゃくりを「低い音程から滑らかに本来の音程までずり上げて歌唱する技法」と説明しています。精密採点Ai(精密採点AI と表記されることもあります)では、しゃくりやこぶしなどのテクニックを検出した箇所に印が表示され、歌い終わった後の分析画面で回数を確認できます。精密採点Aiでは「上手に聴こえる」歌い方を検出すると画面にピンクの光線が出て、Ai感性の評価にたまっていく演出もあります。
DAMのしゃくりの出し方について押さえておきたいのは、同じテクニックばかり使っても加点は伸びにくいという点です。DAMの採点開発者のインタビューでも、しゃくりだけ・こぶしだけを多用するより、いろいろな歌唱技法を使い分けたほうが効果的に加点されると説明されています。しゃくりの回数を稼ぐことが目的化すると、かえって歌が不自然になるので注意しましょう。
JOYSOUNDの分析採点でのしゃくり
JOYSOUNDの分析採点(分析採点AI+・分析採点マスターなど)でも、しゃくりが判定された箇所にアイコンが表示され、回数がカウントされます。テクニックの評価ではしゃくりのほか、こぶし・ビブラートなどが対象です。JOYSOUNDはDAMに比べてしゃくりの判定が厳しめだとよく言われ、目標の音程にしっかり着地しないと検出されにくい傾向があります。どちらの機種でも、判定の細かな基準は公開されていないので、採点機能の最新の仕様は各社の公式サイトで確認してください。
しゃくりで加点される?減点される?
しゃくりは基本的に加点の対象であり、しゃくり自体が減点項目になっているわけではありません。ただし、しゃくりが原因で点数が下がるケースはあります。
- 上がりきらない: 目標の音に届く前に次の音へ移ると、音程のずれとして扱われ、音程正確率が下がります
- ずり上げが長すぎる: 低い音程にいる時間が長いほど音程バーから外れている時間が長くなり、点数下がる原因になります
- リズムが遅れる: 下から探るように入ると、音の出だしが拍に遅れて聞こえ、リズムの評価に響きます
「しゃくりが多いと減点される」と言われるのは、この音程・リズムへの悪影響のことです。しゃくりを加点につなげるには、短く・目標の音にしっかり着地することが条件になります。
しゃくりの回数は何回から多い?平均の目安
カラオケのしゃくりの平均回数について、メーカーが公式の平均値を公表しているわけではありません。1曲の回数は、曲の長さ・フレーズの数・テンポによって大きく変わるからです。スローバラードのようにフレーズの出だしが多い曲では自然と多くなり、早口のアップテンポ曲では少なくなります。
そのため、回数は絶対値ではなく「フレーズの数に対してどれくらいか」で見るのがおすすめです。歌詞カードを見て、1曲にフレーズ(ひと息で歌うまとまり)がいくつあるか数えてみてください。
| 1曲の回数 | よくある状態 | 見直すポイント |
|---|---|---|
| 20回・30回程度 | フレーズの出だしの一部だけでしゃくっている | 効かせたい所に入っているかを確認 |
| しゃくり40回・50回程度 | 多くのフレーズの頭でしゃくっている | 曲の雰囲気に合っていれば問題なし |
| 60回〜70回程度 | フレーズ内の音にもしゃくりが入り始めている | 無意識の癖になっていないか録音で確認 |
| 80回・100回以上 | ほぼすべての音を下から探っている | 音程の取り方そのものを見直す |
たとえば65回と表示されても、フレーズが60以上ある長いバラードなら「ほぼ毎フレーズ1回」で自然な範囲ですし、フレーズが20ほどの短い曲なら1フレーズに3回以上しゃくっている計算で、多すぎると判断できます。ちなみに「しゃくりのカラオケ世界記録」のような公式の記録は存在しないので、回数の多さを競う必要はありません。回数が多すぎるときの原因と直し方は、後の章で詳しく解説します。
しゃくりの出し方・やり方とコツ
しゃくりの出し方(だしかた)は、「低めに入る → 滑らかに上げる → 目標の音で止める」の3ステップです。動き自体は単純なので、コツさえつかめば誰でもできるようになります。ここでは、しゃくりのやり方を歌の中でどう使うかまで含めて、順番に説明します。
基本の3ステップ
- 目標の音を確認する: まず、しゃくりを入れたい音を普通にまっすぐ歌い、正しい音程を体に入れます。着地点がわからないまましゃくると、上がりきらない原因になります。
- 半音ほど低いところから声を出す: 目標の音より少しだけ低い音で歌い出します。最初は「ほんの少し下」で十分です。
- 滑らかに上げて、目標の音で止める: 声を途切れさせずにずり上げ、目標の音に着いたらそこで音程をまっすぐ保ちます。ずり上げにかける時間は、音符の長さのごく最初の部分だけにとどめます。
しゃくり出し方を簡単に覚えるイメージとしては、「えぇ?」と聞き返すときの語尾の上がり方や、「あ〜あ」とため息まじりに声を出したときの最初の音が近い感覚です。話し言葉で自然に起きている音程の上がり方を、歌の出だしに持ち込むと考えるとわかりやすいでしょう。
しゃくりを入れるタイミング|どこに入れる?
しゃくりの入れ方(いれかた)で大切なのは、どの音に付けるかです。すべての音にしゃくりを付けると、歌全体がだらしなく聞こえてしまいます。効果的なタイミングは次のような場所です。
- フレーズの歌い出し: 息を吸った直後の最初の音。いちばん自然にしゃくりが入る場所です
- 音程が大きく上がる音: 跳躍する音に下から入ると、高い音に勢いよく届きます
- 伸ばす音・強調したい言葉: 長く伸ばす音や、歌詞の中で気持ちを込めたい言葉の頭
- サビの頭: 曲の盛り上がりにしゃくりを付けると、感情の高まりが伝わります
反対に、語尾や細かく動く速いフレーズの中の音にはしゃくりは向きません。語尾は音を下げるフォールのほうが自然に聞こえることが多く、速いフレーズでしゃくると音程がぼやけてしまいます。しゃくりの付け方に迷ったら、まずは「フレーズの頭だけ」に絞ってつけると失敗しにくいでしょう。
自然に聞こえるしゃくりのコツ
しゃくりを出す方法がわかったら、次は自然に聞かせる工夫です。しゃくりを出すコツ、つまりしゃくり方のコツは、次の4つです。
- 短くする
- ずり上げにかける時間が短いほど、自然でおしゃれに聞こえます。ゆっくり上げると演歌的な濃い味付けになるので、曲に合わせて長さを調整しましょう。
- 息を止めない
- 声を押し出すのではなく、息の流れに乗せて音程を上げると滑らかになります。息の支え方は歌のブレスの記事も参考になります。
- 母音をはっきり発音する
- しゃくりは言葉の母音の上で起きる動きです。「あ」「い」などの母音を響かせたまま上げると、音程の動きが聞き取りやすくなります。
- 喉を締めない
- 下から持ち上げようとして喉に力が入ると、声が詰まってしゃくりが途切れます。首や顎の力を抜いた状態で行いましょう。
しゃくりができない・出ないときの対処法
しゃくりができない、うまく出ない・しゃくりがでないと感じるときは、原因によって対処法が変わります。
- 音程が段になってしまう: 低い音と目標の音の2つの音を別々に出している状態です。サイレンのように「う〜」と声を低い所から高い所へ滑らせる練習で、連続的に音程を動かす感覚をつかみましょう
- 採点で検出されない: ずり上げの幅が小さすぎるか、目標の音に着地していない可能性があります。少しだけ幅を大きくし、着地後に音程をまっすぐ保つことを意識します
- 高音でしゃくれない: 高音は目標の音を出すだけで精いっぱいになりがちです。まずは中音域で練習し、高音では幅を小さくして使いましょう。高音の出し方そのものはミックスボイスの記事で解説しています
しゃくりが難しいと感じても、多くの場合は「幅が大きすぎる」「時間が長すぎる」のどちらかです。しゃくりをどうやって出すか、具体的にどうやるか迷ったら、小さく・短くから始めて、少しずつ幅を広げていくのが上達の近道です。
しゃくりの練習方法と練習曲
しゃくりの練習は、いきなり曲で行うより、声だけで音程を滑らかに動かす練習から段階的に進めるほうが確実です。ここでは1日10分ほどでできる練習メニューを、やる順番に紹介します。カラオケ練習の前のウォーミングアップとしても使えます。
練習1: サイレン発声で音程を滑らかに動かす
口を軽く閉じて「ん〜」、または「う〜」の母音で、低い音から高い音へ救急車のサイレンのように声を滑らせます。音程が階段状にならず、坂道のように連続して上がっていれば成功です。しゃくりは、この「滑らかな上昇」を短く切り取ったものなので、まずはここが土台になります。唇を震わせるリップロールで同じように音程を上下させると、喉に力が入りにくく、より楽に練習できます。
練習2: 1音だけでしゃくる
ピアノアプリやキーボードで出したい音(たとえば真ん中のドの上のミ)を鳴らし、その音に向かって半音下から「あ」でしゃくり上げます。着地したら2〜3秒まっすぐ伸ばし、音程が安定しているかを耳で確認します。
- ずり上げの幅: 半音 → 1音 と少しずつ広げる
- ずり上げの速さ: 「速い」「ゆっくり」を交互に試し、聞こえ方の違いを比べる
- 母音: 「あ」「え」「お」など母音を変えて同じことをする
練習3: 音階やフレーズの頭でしゃくる
「ドレミファソ」の音階を歌い、1音目だけしゃくる、全部の音をしゃくる、しゃくらない、の3パターンを歌い比べます。全部の音でしゃくると、どれほどくどく聞こえるかが実感でき、どこに入れれば効果的かの感覚が身につきます。
練習4: 曲の中で入れる場所を決めて歌う
最後に、実際の曲でしゃくりを入れる場所を歌詞カードに印をつけて決め、その場所だけでしゃくって歌います。スマートフォンで録音し、狙った場所に入っているか、入れていない場所で無意識にしゃくっていないかを確認しましょう。自分の声を動画で撮ると、顎や首に力が入っていないかも同時にチェックできます。
しゃくりの練習曲の選び方
しゃくりを入れやすい曲・出しやすい曲には共通点があります。練習曲を選ぶときは、次の条件を満たす曲がおすすめです。
| 条件 | 理由 | 向いている曲の例 |
|---|---|---|
| テンポがゆっくり | ずり上げる時間の余裕がある、しゃくりの取りやすい曲 | スローバラード、童謡・唱歌 |
| 伸ばす音が多い | 着地後に音程を保てているか確認しやすい | 「ふるさと」などの唱歌 |
| メロディが上下に動く | 上がる音にしゃくりを付ける練習になる | J-POPのバラード、歌謡曲 |
| 原曲の歌手がしゃくりを使う | お手本を聴いてまねできる、わかりやすい曲 | 下の章の歌手の曲 |
カラオケの練習曲としては、まずよく知っている童謡や唱歌から始めると、メロディを覚える負担がなくしゃくりだけに集中できます。慣れてきたら、しゃくりが特徴的な歌手の曲を原曲と聴き比べながら歌ってみましょう。練習全体の組み立て方はカラオケの練習方法でも詳しく解説しています。
しゃくりが多い原因|なぜ無意識に出るのか
カラオケでしゃくりがめっちゃ出る、しゃくりばかり出ると悩む人は少なくありません。しゃくりが多いのはなぜか、しゃくりはなぜでるのか(なぜ出るのか)というと、多くの場合「表現として入れている」のではなく「音程を探す動きがしゃくりとして検出されている」からです。しゃくりが無意識に出る理由、つまりしゃくり出る理由を4つに分けて説明します。
原因1: 音程を下から探している
しゃくりが多い理由として最も多いのが、正しい音程に一発で当てられず、下から探りながら合わせにいく癖です。声を出してから耳で確かめ、ずり上げて合わせる動きが、採点機能にはしゃくりとして数えられます。特に、音程が上に跳ぶ場所や、自信のないメロディでこの動きが出やすくなります。音程を取る力そのものを鍛える方法は歌の音程の記事で解説しています。
原因2: 高音で喉が準備できていない
高い音を出すとき、声帯の準備が間に合わないまま声を出すと、いったん低めの音が出てから目標の音へ引き上げる形になります。高音が苦手な人ほど、サビの高音でしゃくりが出やすいのはこのためです。息の支えが足りない、喉が締まっているといった発声の問題が隠れていることもあります。
原因3: 好きな歌手の歌い方がうつっている
しゃくりを多用する歌手の曲ばかり聴いたり歌ったりしていると、その歌い回しが自分の癖として定着することがあります。原曲の歌手が意図してしゃくっている場所だけでなく、ほかの音にまで同じ動きが広がると、しゃくりが出すぎる「しゃくりが多すぎる」状態になり、そのまましゃくりぐせとして残ります。演歌を歌い慣れている人がポップスを歌うと、しゃくりやこぶしが出やすいのも同じ理由です。
原因4: 緊張や言葉の入り方の癖
人前で歌う緊張で呼吸が浅くなると、声の出だしが不安定になり、音程が下から入りやすくなります。また、日本語は子音のあとに母音が続くため、子音を発音している間に音程が定まらず、母音で合わせにいく動きが出ることもあります。「か」「た」など破裂する子音で始まる言葉より、「な」「ま」など柔らかい子音や母音で始まる言葉のほうが、しゃくりが出やすい傾向があります。
しゃくりが多い人・出やすい人の特徴
しゃくりが多い人には、次のような特徴がよく見られます。自分に当てはまるものがあれば、それが原因の手がかりになります。
- 採点で音程正確率が伸びないのに、しゃくりの回数だけがたくさん出る
- サビや高音の直前で、声を「よいしょ」と持ち上げる感覚がある
- 演歌・歌謡曲や、しゃくりの多い歌手の曲をよく歌う
- 歌い出しの音程に自信がなく、歌いながら合わせている
- 録音を聴くと、語尾以外のほとんどの音が下から始まっている
しゃくりがよく出る条件がわかれば、対策も立てやすくなります。原因1・2に当てはまる人は音程と発声の練習、原因3・4に当てはまる人は歌い方の意識づけが効果的です。
しゃくりが多いと下手?良い・悪いの考え方
「カラオケでしゃくりが多い人は歌が下手」という話を聞いたことがあるかもしれません。結論から言うと、しゃくりが多いこと自体は下手の証拠ではありません。問題になるのは回数ではなく、しゃくりが「狙って入れたもの」か「音程が取れずに出てしまったもの」かです。
しゃくりが「良い」とされる理由とメリット
しゃくりには、歌にとって次のようなメリットがあります。
- 感情が伝わる: 下からすくい上げる動きが、切なさや高ぶる気持ちを表現します
- 歌い出しが柔らかくなる: 音にいきなり当てるより、角の取れた入り方になります
- 抑揚がつく: まっすぐな音の中にしゃくりが入ることで、メロディに表情と抑揚が生まれます
- 採点で加点される: 着地がきれいなしゃくりは、表現力の評価につながります
しゃくりが上手い人は、入れる場所と入れない場所をはっきり使い分けています。1曲の中でここぞという場所にだけしゃくりを効かせるので、聴き手には「すごい」「味がある」と感じられるのです。
しゃくりが「よくない」「悪い」と言われるケース
一方で、しゃくりがよくないと言われるのは、次のような状態のときです。
- ほぼすべての音でしゃくっていて、どこが聴かせどころかわからない
- ずり上げが長く、音程がずっと低めに聞こえる
- しゃくりの後で目標の音に届かず、音痴っぽく聞こえる
- 曲の雰囲気(さわやかなアップテンポ曲など)に合っていない
「しゃくり多い=歌下手」と言われるのは、このように音程の不安定さがしゃくりとして表れている場合です。下手くそに聞こえるかどうかは、しゃくりの数ではなく、着地の正確さと入れる場所の選び方で決まります。カラオケで悪い評価になるのも、しゃくりが原因で音程やリズムが崩れたときです。
しゃくりが少ないのは悪いこと?
反対に、しゃくりが少ない、ほとんど出ないのが悪いかというと、そうとも限りません。しゃくりが少ないのは、音程に一発で当てられている証拠でもあります。まっすぐな声が魅力の曲や、クールに歌いたい曲では、しゃくりが少ないほうがいい場合も多いでしょう。採点で表現力を上げたいなら、少ない回数のまま入れる場所を選んで増やすのが理想的です。しゃくりの増やし方は、第3章の「入れるタイミング」で挙げたフレーズの頭やサビの入りから1か所ずつ足していくのが確実です。
しゃくりは、多すぎても少なすぎても「正解」があるわけではありません。自分の歌を録音して聴き、曲に合っているかどうかで判断するのがいちばんです。
しゃくりを減らす・直す方法|癖の直し方
しゃくりが多すぎて減らしたい、しゃくり癖を直したい、やめたいという人向けに、しゃくりを減らす方法を順番に紹介します。しゃくりの止め方(とめかた)、しゃくり癖の治し方がわからない人も多いのですが、しゃくりの減らし方の基本は、「目標の音に一発で当てる」練習をして、下から探る必要をなくすことです。
ステップ1: 録音してしゃくりの場所を把握する
まずは自分の歌を録音し、どこでしゃくっているかを歌詞カードに書き込みます。カラオケの採点機能でしゃくりのマークが付いた場所を見るのも有効です。無意識のしゃくりは自分では気づきにくいので、客観的に聴いて場所を特定することが、しゃくりを直す第一歩になります。多くの場合、しゃくりはすべての音ではなく、高音・跳躍する音・フレーズの頭など決まった場所に集中しています。
ステップ2: 音をまっすぐ当てる練習をする
しゃくりが出ていた音を取り出し、ピアノアプリなどで正しい音を鳴らしてから、その音に「まっすぐ」当てる練習をします。コツは、声を出す前に頭の中で目標の音を鳴らしておくことです。音をイメージしてから声を出す習慣がつくと、下から探る動きが自然に減っていきます。
- 目標の音を鳴らす → 頭の中で同じ音を思い浮かべる → 息を吸って一発で出す
- 最初は短い「ア!」で当て、慣れたら伸ばす
- 「か」「た」など子音のはっきりした言葉で練習すると、出だしが定まりやすい
ステップ3: 高音は喉の準備を先にする
高音でしゃくりが出る人は、声を出す直前に目標の高さの準備を整えておくことが大切です。息を吸う段階で「次は高い音」と意識し、声を出す瞬間から目標の高さで鳴らすつもりで歌います。高音自体が苦しい場合は、キーを下げて歌い、しゃくらずに当てる感覚をつかんでから原曲のキーに戻すのも方法です。
ステップ4: 残すしゃくりを選んで歌う
しゃくりを完全になくす必要はありません。曲の中で「ここは表現として残す」という場所を2〜3か所決め、それ以外はまっすぐ当てて歌います。こうすることで、しゃくりが癖ではなく意図した表現に変わり、聴き手にも効果的に届くようになります。採点の表現力を落とさずに、音程正確率を上げることもできます。
カラオケでしゃくりを少なくするときの注意点
しゃくりを少なくする方法を試すときは、次の点に気をつけましょう。
- 力で押さえ込まない
- しゃくらないように喉を固めると、声が硬くなり、別の音程のずれを生みます。力を抜いたまま音を当てることを目指します。
- 一度に全部直そうとしない
- まずはサビだけ、次はAメロと、範囲を区切って直すほうが確実です。
- 喉に痛みがあるときは休む
- 練習中に喉の痛みや違和感が続く場合は無理をせず、長引くときは耳鼻咽喉科を受診してください。
歌のしゃくり癖を治す方法をひとりで続けるのが難しい場合、カラオケだけで治す方法に限界を感じた場合は、ボイストレーニングで音程の取り方を客観的に見てもらうのも近道です。癖は自分で気づきにくいため、第三者の耳が入ると直りが早くなります。
しゃくりとこぶし・ビブラート・フォールなどの違い
しゃくりは、こぶし・ビブラート・フォールと並んでカラオケ採点の代表的なテクニックです。どれも音程を動かす技法なので混同しやすいのですが、「音のどこで」「どの方向に」音程を動かすかで見分けると違いがはっきりします。こぶし・ビブラート・フォールとは何か、しゃくりとの違いを順番に整理しましょう。
| テクニック | 音のどこで | 音程の動き |
|---|---|---|
| しゃくり | 音の始まり | 下から上へ滑らかにずり上げる |
| こぶし | 音の移り目 | 一瞬上げて戻す(節を回す) |
| ビブラート | 伸ばしている途中 | 一定の周期で上下に揺らす |
| フォール | 音の終わり | 上から下へ落とす |
| ハンマリング | 音の途中 | 段差をつけて1段上げる |
しゃくりとこぶしの違い
こぶしとは、音から音へ移るときに音程を一瞬だけ上下させ、節を回すように歌う装飾です。しゃくりが音の入り口で下から上げる一方向の動きなのに対し、こぶしは移り目で上げてすぐ戻す往復の動きです。演歌では両方がセットで使われることが多く、「しゃくって入り、こぶしをまわす(回す)」ような歌い回しがよく聴かれます。こぶしのやり方や出し方はこぶしの記事で詳しく解説しています。
しゃくりとビブラートの違い
ビブラートとは、伸ばしている音を一定の周期で細かく上下に揺らす技法です。しゃくりは音の始まりに1回だけ起きるのに対し、ビブラートは音を伸ばしている間に周期的に続きます。「しゃくりで入ってビブラートで伸ばす」と組み合わせると、バラードのロングトーンが豊かに聞こえます。ビブラートの出し方はビブラートの記事を参考にしてください。なお、クラシックの装飾音の「モルデント」は、主音と隣の音をすばやく1回往復する装飾で、周期的に揺らし続けるビブラートとも、下から入るしゃくりとも別のものです。
しゃくりとフォールの違い|しゃくりの逆はフォール
フォールとは、音の終わりで音程を下に落とす技法です。しゃくりが「音の始まり・下から上」なのに対し、フォールは「音の終わり・上から下」で、位置も方向もちょうどしゃくりの逆にあたります。そのため、歌やカラオケで「しゃくりの逆」と言えば、一般的にはフォールのことを指します。フォールの詳しいやり方はフォールの記事で解説しています。
しゃくりとハンマリングの違い
ハンマリング(ハンマリング・オン)は、もともとギターで弦を指で叩いて音程を上げる奏法の名前です。DAMの精密採点では、1つの音の途中で段差をつけて音程を上げる歌い方がハンマリング・オンとして検出されます。カラオケでのハンマリングとしゃくりの違いは、しゃくりが「滑らかな坂道」で上がるのに対し、ハンマリングは「階段を1段上がる」ように、はっきりした段差で上がることです。
ポルタメント・ヒーカップ・アクセントなどとの違い
ほかにも、しゃくりと似た技法・間違えやすい用語があります。
- ポルタメント
- ある音から別の音へ、音程を滑らかにつないで移る技法です。しゃくりとの違いは、ポルタメントが「2つの音のあいだ」をつなぐのに対し、しゃくりは楽譜に無い低い音から「1つの音の入り口」に付ける点です。
- ヒーカップ
- 声を裏返らせて「ヒッ」としゃっくりのような音を入れる技法です。音程を滑らかに上げるしゃくりとは別物で、詳しくはヒーカップ唱法の記事で解説しています。
- アクセント
- 特定の音を強く歌って目立たせる技法で、動かすのは音程ではなく音量や勢いです。しゃくりとの違いは歌のアクセントを参照してください。
- エッジボイス・ファルセット
- どちらも声の出し方(声区や声質)の技法で、音程の動きの技法であるしゃくりとは分類が異なります。ただし、エッジボイスから声を立ち上げてしゃくる、ファルセットでしゃくるなど、組み合わせて使うことはよくあります。
- ブルーノート
- ブルースやジャズで使われる、少し下げた独特の音のことです。ブルーノートの音から本来の音へしゃくり上げる歌い回し(ブルーノートしゃくり)はブルースらしい表現として定番です。
しゃくりが特徴的な歌手・アーティストと曲
しゃくりの使い方を身につけるには、上手い歌手の歌を聴いて、どこでしゃくっているかを耳で確かめるのがいちばんです。ここでは、しゃくりが多い歌手・しゃくりの上手い人として名前がよく挙がるアーティストを、男性・女性に分けて紹介します。いずれも「しゃくりを多用するから上手い」のではなく、曲の表情づけとして効果的に使っている点がお手本になります。
しゃくりが特徴的な男性歌手
| 歌手 | しゃくりの特徴 | 聴いてみたい曲 |
|---|---|---|
| 桑田佳祐(サザンオールスターズ) | 言葉の頭を下からすくう、崩した歌い回しが持ち味 | 「いとしのエリー」 |
| 桜井和寿(Mr.Children) | ミスチルの曲ではフレーズの頭や語りかける部分でしゃくりが多く聴ける | 「名もなき詩」 |
| 優里 | 感情が高ぶる言葉に深めのしゃくりを入れる | 「ドライフラワー」 |
| 竹中雄大(Novelbright) | 高音へ跳ぶ音に勢いよくしゃくり上げる | 「Walking with you」 |
しゃくりが特徴的な女性歌手
| 歌手 | しゃくりの特徴 | 聴いてみたい曲 |
|---|---|---|
| 松田聖子 | フレーズの頭に軽く甘いしゃくりを入れ、かわいらしさを出す | 「赤いスイートピー」 |
| LiSA | 力強い高音の入りにしゃくりを効かせる | 「紅蓮華」 |
| 長屋晴子(緑黄色社会) | サビの高音で柔らかくすくい上げる | 「Mela!」 |
| ハロプロ(ハロー!プロジェクト)のメンバー | 語尾や言葉の頭を強くしゃくる独特の歌い方がグループの色として知られる | 各グループの代表曲 |
表に挙げた曲は、しゃくりの入り方を聴き取りやすい例です。聴くときは歌詞カードを手元に置き、「どの言葉で下から入っているか」に印をつけながら聴くと、プロがしゃくりを入れる場所の法則が見えてきます。
しゃくりが多いジャンル・曲の傾向
しゃくりが多い曲・出やすい曲には、ジャンルごとの傾向があります。カラオケ曲を選ぶときの参考にしてください。
- 演歌・歌謡曲: しゃくりとこぶしを組み合わせた歌い回しが基本で、しゃくりが最も多いジャンルです
- 民謡: 地域ごとに独特の節回しがあり、音を下からすくう歌い方が多く聴かれます。沖縄民謡のように、音程を滑らかにつなぐ歌い回しが特徴になっているものもあります
- J-POPのバラード: フレーズの頭やサビの入りに、感情表現としてのしゃくりが入ります
- R&B・ソウル: 音程を自在に動かす歌い方の一部として、しゃくりが頻繁に使われます
- ラップ: 音程をあまり動かさないため、しゃくりは少なめです。ただし、メロディを付けて歌うパートではしゃくりが入ることもあります
しゃくりがたくさん出る曲を練習すると、自然と表現の引き出しが増えます。一方で、しゃくりを減らしたい人は、まずアップテンポでまっすぐな声が似合う曲で「当てる」感覚を身につけると効果的です。
楽器・ボカロ(歌声合成ソフト)でのしゃくり
しゃくりは歌だけの言葉ではなく、楽器の演奏やボカロ(歌声合成ソフト)の調声でも使われます。歌のしゃくりを理解するうえでも、「音程を連続で動かせるか」という観点で楽器と比べるとイメージしやすくなります。
ギター・サックス・ピアノのしゃくり
楽器でしゃくりのような効果が出せるかどうかは、音程を連続的に動かせる楽器かどうかで決まります。
- ギター
- 弦を押し上げて音程を上げるチョーキング(ベンド)や、指を滑らせるスライドで、しゃくりと同じ「下からずり上げる」音が出せます。ギターソロで歌うようなフレーズが弾けるのはこのためです。
- サックス
- サックスでは、くわえ方(アンブシュア)を緩めて音程を少し下げた状態から吹き始め、本来の音程へ戻すやり方でしゃくりを入れます。ジャズやポップスのサックスでは定番の表現で、サックス奏者のあいだでも「しゃくり」という言葉がそのまま使われます。
- ピアノ
- ピアノは鍵盤ごとに音程が決まっているため、滑らかなしゃくりは出せません。そのかわり、目標の音のすぐ下の鍵盤を一瞬だけ先に弾く装飾音(前打音)で、しゃくりに近い雰囲気を表現します。
ボカロ・歌声合成ソフトでのしゃくり
初音ミクなどのボカロや歌声合成ソフトでは、音符をそのまま並べただけだと音程がまっすぐで機械的に聞こえます。そこで、音の頭に下からのずり上げを加えてしゃくりを再現し、人間らしい歌い回しに近づけるのが調声の定番テクニックです。
- ピッチカーブを描く: 音程の線(ピッチ)を編集して、音の頭を少し低い位置から始め、本来の高さへ滑らかにつなげます。VOCALOID6、初音ミク V4X などで使う Piapro Studio(ピアプロスタジオ)、Synthesizer V(シンセサイザーV)など、多くのソフトで基本となる方法です
- 自動の歌い回し機能を使う: ソフトによっては、しゃくりやビブラートなどの歌い回しを自動で付ける機能やパラメータがあります
機能の名前や操作の仕方は、ソフトやバージョンによって異なります。具体的な手順は各ソフトの公式マニュアルで最新情報を確認してください。人間の歌と同じく、すべての音にしゃくりを付けるとくどくなるので、フレーズの頭や伸ばす音に絞るのが自然に聞かせるコツです。なお、楽譜作成ソフトの MuseScore(ミューズスコア)のような記譜ソフトでは、ジャズの譜面で使われるスクープの記号を音符に付けて、しゃくりの指示を書き込めます。
歌以外の「しゃくり」の意味|しゃくり上げる・建築・釣り
「しゃくり」という言葉は、歌以外にもいくつかの意味で使われています。検索すると別の分野の情報が混ざって出てくるので、ここで意味の違いを整理しておきます。どれも語源の「しゃくる(すくう・えぐる・あおる)」という動きから広がった言葉です。
しゃくり上げる・しゃくりあげるの意味
しゃくりあげるとは、漢字まじりで書くと「しゃくり上げる」で、泣くときに、息を何度も短く吸い込むようにしながら声を詰まらせて泣くことを意味します。「しゃくりあげるような呼吸」や、小説などで見かける「しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸」とは、まさにこの泣き方のときの、ひくひくと途切れ途切れになる息づかいのことです。例文としては「子どもがしゃくりあげながら謝った」「大人になっても、しゃくり上げて泣いた日のことを覚えている」のように使います。大人の泣き方を表すときにも使われる言葉です。
歌の世界でも、泣きそうな感情を表現するために、しゃくり上げるような息まじりの声を歌い出しに使うことがあります。ただし、歌唱テクニックとしてのしゃくりは音程の動きのことなので、泣き方の「しゃくり上げる」とは意味が異なります。
しゃっくりとの関係
「しゃくり」は、実はしゃっくりの古い言い方でもあります。国語辞典では、しゃっくりを表す言葉として「しゃくり」が載っており、しゃっくりの語源もこの「しゃくり」にあるとされています。しゃっくりとひゃっくりのどっちが正しいかといえば、共通語としてはしゃっくりが一般的で、「ひゃっくり」は地域によって使われる方言的な言い方です。東京の下町言葉では「し」と「ひ」が入れ替わりやすいことが知られています。また、「しゃっくりが100回続くとしぬ」という昔からの俗説があり、それが混ざって「しゃくり100回したらしぬ」と冗談で言われることもありますが、歌のしゃくりは何回しても体に害はなく、この俗説にも医学的な根拠はありません。しゃっくりの止め方や原因などは医療・健康の情報になるので、この記事では扱いません。症状が長く続く場合は医療機関に相談してください。
建築・木工の「しゃくり」
建築用語としてのしゃくりとは、木材の角や面を細長く削り取って溝や段を作る加工のことです。漢字では「决り」「決り」などと書きます。窓枠や建具の枠に板やガラスをはめ込むための溝を掘ったり、板同士を段差でかみ合わせたりする加工として、木工や大工仕事で使われます。
釣りの「シャクリ」
釣りでは、竿を鋭くあおってエギ(イカ釣り用の疑似餌)やルアー、仕掛けを水中で跳ね上げる動作を「シャクリ」と呼びます。エギングやジギングで魚を誘う基本の動作で、カタカナで書かれることが多い言葉です。
なお、「しゃくり倒す」は「〜倒す」が「徹底的に〜する」という意味を加える言い回しで、歌の話題では「1曲の中でしゃくりまくる」ような意味で使われます。このように、分野によって「しゃくり」の意味は大きく異なりますが、「下から上へすくう・持ち上げる」という共通のイメージを押さえておくと覚えやすいでしょう。
よくある質問
- しゃくりとは、簡単に言うと何ですか?
- 目標の音より少し低い音から歌い始め、滑らかにずり上げて本来の音程に届かせる歌い方です。英語では scoop(スクープ)と呼ばれます。
- カラオケでしゃくりを入れると点数は上がりますか?
- DAMやJOYSOUNDの採点では、しゃくりはテクニックとして検出され、表現力の加点につながります。ただし、目標の音に上がりきらないと音程のずれとして扱われるため、短くずり上げてしっかり着地させることが条件です。
- しゃくりが多いのは下手だからですか?
- 回数が多いこと自体は下手の証拠ではありません。音程を下から探る癖でしゃくりが出ている場合は音程が不安定に聞こえるので、録音で場所を確認し、残すしゃくりと直すしゃくりを分けましょう。
- しゃくり癖直すにはどうしたらいい?無意識に出てしまいます
- 声を出す前に頭の中で目標の音を鳴らし、一発で当てる練習が効果的です。高音でしゃくりが出る人は、息を吸う段階で次の音の高さを準備するよう意識しましょう。
- しゃくりとこぶしはどう違いますか?
- しゃくりは音の始まりで下から上へ一方向にずり上げる動き、こぶしは音の移り目で音程を一瞬上げて戻す往復の動きです。演歌では両方を組み合わせて使うことがよくあります。
まとめ
歌のしゃくりは、目標の音より低いところから入り、滑らかにずり上げて本来の音程に着地させるテクニックです。この記事のポイントを振り返ります。
- しゃくりは「音の始まり」に付ける下からのずり上げで、英語では scoop と呼ぶ
- カラオケ採点では加点の対象。ただし上がりきらないと音程のずれになる
- 出し方は「目標の音を確認 → 半音ほど下から入る → 上げて止める」の3ステップ
- しゃくりが多い原因は、音程を下から探す癖・高音の準備不足・歌手の癖・緊張など
- 良し悪しは回数ではなく、入れる場所と着地の正確さで決まる
- こぶしは移り目の往復、ビブラートは周期的な揺れ、フォールは終わりを落とす動きで、しゃくりの逆はフォール
しゃくりは、狙った場所に短く入れるだけで歌の表情が大きく変わる、効果の大きいテクニックです。一方で、無意識の癖になっているしゃくりは自分では気づきにくく、ひとりで直すには時間がかかります。音程の取り方やしゃくりの使い分けを効率よく身につけたい人は、ボイストレーニングの教室で客観的なアドバイスを受けてみるのもおすすめです。お住まいの地域や最寄り駅から、体験レッスンのあるボイトレ教室を探すことができます。

